アスリートにとっての増量とは
競技種目にもよりますが、アスリートにとっての増量とは、いわゆる骨格筋量の増加が主になります。
筋量増量を達成するためには、レジスタンストレーニングとホルモン応答、それに伴う適切な栄養補給が重要であるとされています。
そのため、エネルギー産生栄養素の比率や量、タイミング、食事回数、個人差(遺伝的要因も含む)を考慮し、エネルギー出納をいかに計画的に調節された負荷量をもってプラスにするかが重要になります。
栄養補給のタイミングとその内容
レジスタンストレーニングに関連する栄養補給のタイミングとその内容については、2008年に報告されたニュートリエントタイミングのポジションスタンドが示すように数多くの研究がなされています。
- レジスタンストレーニングが、主に筋タンパク質の合成を増加させ、筋肉のタンパク質代謝出納を正にすること
- レジスタンストレーニングの前に必須アミノ酸と糖質を摂取した際の筋タンパク質合成は、運動後よりも有効であること
- 運動直後における糖質とタンパク質の同時摂取は、インスリン反応が大きく、筋グリコーゲンの増加量や、筋タンパク質の合成も同様であること(アミノ酸や糖質のみを摂取するよりも筋タンパク質の合成も大きいこと)
- 運動直後に筋グリコーゲンの再合成を最大化するためには、糖質:タンパク質を3:1の比率で補給すること(競技特性に応じて糖質の割合を2~4の間で調整)
なお、運動直後に補給する糖質に関しては、1~1.2g/kg(BW)/hがよいとされ、それに準じて3:1の比率に応じてタンパク質量を決定することが望ましいと考えられています。
タンパク質の種類に関してはホエイの有用な知見が多くなりますが、ホエイとカゼインの混合摂取が、ホエイとアミノ酸、もしくは糖質のみと比較して有意に骨格筋量が上昇したこと、さらにホエイとカゼインにクレアチンを混合した場合の除脂肪体重増加が大きく表れたこと等が報告されています。
素早く吸収されるホエイとゆっくりと吸収されるカゼインを併用して飲用することが持続的に血中アミノ酸濃度を維持すると推察されるため、筋タンパクの分解が多くなるレジスタンスエクササイズを行う際には、タンパク質量の補填として検討することもできます。
クレアチンに関してはオーストラリア国立スポーツ研究所(Australian Institute of Sport:AIS)をはじめ、諸外国においてはATPの効率的な産生や除脂肪体重の増加に対してその有用性が認められています。
引用・索引1)Burk LM Et al Carbohydrate for training and compretition.J Sports Sci.29:17-27.2011
2)独立行政法人国立健康・栄養研究所監修・健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック.東京.第一出版:356.2010
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