NOとピークパワー出力
2006年にCampbellらによって公表されたレポートによると、偽薬群と比べた際、ベンチプレスの最大挙上重量(1RM)とWingateサイクルテストのピークパワー出力のわずかな向上が認められました。
この実験では、被験者は8週間にわたって1日あたり12gのL-アルギニンαケトグルタル酸(AAKG)を摂取し、1週間に4日、レジスタンスエクササイズを行いました。
しかし、被験者の変動があまりにも大きいために調査結果が意味を成さなくなっており、例えば、ベンチプレス1RMの増加における平均値±標準偏差がAAKG群においては8.82±7.33kgであり、偽薬群では2.67±9.11kgになりました。
NO生合成の律速因子とは
最後に、L-アルギニンはそれ自身がNO生合成の律速因子ではない可能性も示唆されており、その点も考慮する必要があります。
むしろ、NO合成酵素が最も重要であるのかもしれないので、NO合成酵素に、分子の形成を引き起こすほどの量や活性度がない場合、L-アルギニンの補給は無駄に終わる可能性があります。
以上のことから、NO生成刺激物質として、経口投与型のL-アルギニン(特に低用量)の使用を支持する科学的根拠はないとみられます。
しかし、NO生成刺激栄養補助食品の使用効果を主張するアスリートもおり、そのような製品の多くは、様々な形態のL-アルギニン(アミノ酸、クレアチン、βアラニン、糖質など)に加えて、多様な成分を含んでおり、これらは実際にプラスの効果を及ぼす可能性があります。
特に、多くの製品に含まれる糖質は何らかの効果を及ぼす可能性がり、なぜならば糖分を摂取するとインスリンが増加し、インスリンは血管拡張をもたらすことが示されています。
引用・索引Richard J.Bloomer Cardiorespiratory metabolic Laboratory The University of Memphis Mempis Tennessee