脊髄損傷とトレーニング
脊髄損傷(SCI)のクライアントは起立性低血圧(姿勢によって発生する低血圧)および運動性低血圧があり、また体温調節機能にも問題を抱えている可能性があるため、激しい有酸素性運動には耐えられません。
しかし、トレーニングが適切であれば、有益な生理学的適応を得ることが可能になります。
Figoniらは、ピークパワーとピーク酸素消費量において10~20%の向上を報告しました。
これ以外にも、SCIのクライアントが日常的に筋力および持久力エクササイズを行なう場合に期待される成果として、活動する筋量の増大、筋力の向上、手に車椅子の駆動力の向上、機能的自立が挙げられます。
有酸素性運動と脊髄損傷
運動をしないSCIクライアントと比べると、運動をするSCIクライアントは、最大心拍出量において最高で23%の増加、最大1回拍出量において最高で22%の増加を示す可能性があります。
また全被験者を対麻痺クライアントとする、ある研究においては、12週間のサーキットトレーニングに対して、プラスの生理学的反応が示されました。
平均するとこの研究の10名の男性被験者は、ピーク酸素消費量が30%、疲労までの時間が31%、ピークパワーが16%、そして上半身全体の筋力が21%増大しました。
対麻痺のクライアントは身体活動を行なうことによって、筋力、筋持久力、および有酸素性能力を含めて、上半身の高い身体能力を獲得することが可能になります。
一方、四肢麻痺のクライアントは神経筋系および自律神経系機能が低下しているため、上半身の身体能力の向上は、通常、対麻痺のクライアントの半分以下に留まります。
引用・索引Spinal Cord Injury Information Available at http://SCI-info-pages.com/facts.html.Accessed:March5.2009

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