身体活動とレジスタンストレーニング
身体機能の観点からいうと、脊髄損傷(SCI)のお客が日常生活の諸活動を行なうためには予備心拍数の最大25%の増加を必要とし、車椅子を手で動かして坂を上るには予備心拍数の最大50%の増加が必要とします。
個人の身体能力が高くなるほど、これらの身体活動を行なう能力が高まることは明らかであり、より難度の高いレクリエーション活動や、車椅子を利用した競技活動に参加できる可能性も高まります。
SCIと有酸素性能力
鍛えられた筋において筋力/持久力が増大する仕組みは、SCIのクライアントであっても同じであり、漸進的なレジスタンスエクササイズの原理に従います。
しかし、有酸素性能力の向上は、主に、筋力の向上と鍛えられた筋組織への酸素拡散の増加によってもたらされます。
今のところ、SCIのお客が、心拍数、1回拍出量、心拍出量などの心臓血管系のピーク反応を有意に増大させうることを示す研究結果は存在しません。
身体能力の目標
SCIお客がエクササイズを行なう場合、身体能力面での目標は他の人々と同じになります。
すなわち、機能的能力の向上、健康リスク因子の低減、セルフイメージの向上になります。
トレーニング目標には、筋力/筋持久力、有酸素性能力、関節の柔軟性、高度なスキルを必要とする機能課題/レクリエーション課題に対処可能なコーディネーションなど、身体能力に関わる主な要素がすべて含まれているべきです。
より限定的に言うと、SCIお客のエクササイズにおいて最優先されるべきことは有酸素性能力と筋力/筋持久力であり、次いで血圧の維持と総合的健康になります。
車椅子における障害
車椅子の駆動には上半身と腕の筋力を必要としますが、これは肩、肘、手首においてオーバーユースによる傷害や腱の炎症や関節の変形を招きやすく、車椅子競技者を調査したところ、報告されている傷害の60%近くが肩と肘で発生しており、20%以上の車椅子競技者が手根管症候群を経験していることが判明しています。
反応する筋群のトレーニングをバランスよく行なうために弱い筋の筋力を向上させるつつ、強い/張っている筋を伸張させることも重視することが必要になります。
引用・索引Spinal Cord Injury Information Available at SCI-info-pages.com/facts.html.Accessed:March5.2009