筋力トレーニングの漸進
科学的な研究に基づいた、青少年のための筋力トレーニングの漸進に関係のあるもうひとつの主要なパラメータは、エクササイズを遂行する際の加速と遂行速度になります。
始めは、低負荷から中程度の負荷を用いて、低速から中程度の速度でレジスタントレーニングを行う必要があります。
幼年期の高い神経可塑性を考えると、若年アスリートはまず低強度のエクササイズでしっかり確実な技術を習得し、その後運動のスピードや負荷を適切に漸進させることが重要になります。
筋パワーも子ども時代に鍛えることが可能になり、筋パワーを考慮したレジスタンストレーニングのために、Faigenbaumらは、強度(30~60%1RMで中速から高速)、量(1~6レップで1~3セット以上)、頻度(週2~3回)、エクササイズの種類(多関節エクササイズ)を推奨しています。
筋力エクササイズが直接競技スキルと関係がない場合は、(適用負荷と実行するエクササイズのバリエーションに関して)トレーニングの多様性の原理を適用することは容易になります。
他方、競技特異的な運動(テニスのフォアハンド、サッカーの方向転換など)を模擬しようとする筋力エクササイズを立案することはより困難になります。
抵抗に対抗する競技特異的なスポーツスキルを再現することには、特有の難しさがありますが、この要素は傷害を予防しパフォーマンスを向上するための正しい神経筋コントロールの獲得に向けたもうひとつの重要な段階になります。
回復と筋力トレーニング
強度と量を増加させることは、筋力トレーニングにとって必須の側面になりますが、トレーニングプログラムにおける適切な回復を保証することも等しく重要になります。
最大の適応は、筋が完全に回復したときに起こることが示唆されています。
したがって、筋骨格系に対する過度の疲労は、筋力プログラムにおけるアスリートの漸進能力を損ない、オーバートレーニングによる重大な健康リスクをもたらす可能性があります。
したがって、高強度および/または多量のワークアウトとさほど高強度ではないトレーニング(LIT:Less Intense Training)のバランスをとることが推奨されます。
LITは自体重エクササイズのように、抵抗を十分に減らしたエクササイズで構成されます。
Faigenbaumらは、LITは回復を促進するだけではなく、関節の安定性や関節可動域および特異的運動パターンの促進を通して、回復プロセスを促進できることも提言しています。
引用・索引Krieger JW.Single versus multiple sets of resistance exercise:A meta-Regression.J Strength Cond Res23:1890-1901.2009

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