腰痛を分類するには、まずその腰痛の正体を見極めることが大切です。
それにはまずスポーツ専門の医療機関を受診させ、正確な診断を得たうえで現在の症状についてJ評価を進めます。
腰痛評価にあたっては、まず以下の分類を用いて簡潔に腰痛の概略を把握し、そのうえで機能評価やスポーツ動作の分析を行って腰痛のメカニズムを探求します。
神経症状の無い一般的な腰痛の多くは伸展型、屈曲型、回旋型、安静型、不安定型のいずれかに含まれます。
伸展型、屈曲型、回旋型は文字通り体幹の屈曲、伸展、回旋それぞれの動作により疼痛が増強するタイプの腰痛です。
これらは運動方向に応じて規則的に疼痛が増強するため、特定のスポーツ動作との因果関係をしやすいタイプの腰痛といえます。
一方、安静型や不安定型は運動方向に応じた疼痛パターンが不規則又は無関係で、スポーツ動作との因果関係が不明瞭な腰痛になります。
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屈曲型
これは臀筋群やハムストリングスの短縮により体幹前屈動作における骨盤前傾が制限され、疲労・短縮した腰背部の筋肉が遠心性筋収縮を強いられて増悪するタイプを指します。
日常生活での愁訴としては「靴下を履くときに痛む」「椅子に座るときに痛む」などと表現されます。
多くは腰背部の筋群や臀筋、ハムストリングスの緊張緩和と、前屈運動における骨盤前傾の誘導により運動時痛が軽減できます。
伸展型
これは腸腰筋や大腿筋膜張筋など股関節屈筋の短縮や過緊張があり、体幹を伸展させる際に骨盤前傾・腰椎前弯が増強して疼痛が増悪するタイプの腰痛を指します。
一般的な愁訴として「椅子から立つときに腰が伸びない」などと表現されます。
施術としては股関節屈筋を伸張して股関節伸展可動域を獲得させた後、体幹伸展を促し、腹筋群の緊張を保ちつつ骨盤後傾を誘導することにより運動時痛が軽減できます。
回旋型
体幹回旋により疼痛が増強されるタイプの腰痛で、多くの場合、腹筋の緊張が不十分な為回旋動作の際に骨盤前傾が増強し、腰痛に回旋・伸展ストレスが加わるために起こると考えられています。
回旋側では同側の腰方形筋の過緊張により、非回旋側では骨盤前傾が増強して伸展型腰痛と同様のメカニズムが一側に作用して疼痛が増強する例が多く見られます。
野球やテニスなど回旋動作を多用するスポーツに多発します。
安静型
これは長時間の座位や立位姿勢の保持により腰部周囲の鈍痛や不快感が増悪するタイプを指します。
腰椎椎間板症や腰椎分離症など腰椎の器質的損傷に起因する例が多いのが特徴です。
一方で、運動時痛を合併する場合には、腰痛のメカニズムを知るためにも運動時痛を優先して考えた病態を理解しやすい場合があります。
例えば、長時間の車の運転で増悪する腰痛の場合には、腸腰筋の持続緊張が原因で立ち上がり動作で疼痛が増悪することから、広い意味の伸展型と解釈できる症例も多く含まれています。
不安定型
これは疼痛の発生する条件が一定せず不意に鋭い痛みが走ったり、特定の動作では疼痛が誘発できないタイプの腰痛を指します。
仙腸関節の疼痛が代表的で、「寝返りの痛みで目が覚める」「動作を変えるときに鋭く痛い」というような訴えが特徴的です。
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