肩関節脱臼は比較的起こりやすく、外傷性脱臼の中でも頻度が高い脱臼です。
転倒やスポーツなどで肩関節が過度の外転外旋力が加わった際負傷します。
肩関節は受け皿である肩甲骨関節面が非常に小さいという特徴を持ち、肩関節脱臼は脱臼する方向によって分類されていますが、解剖学的な構造上、骨頭が前下方に逸脱しやすく、前方脱臼が90%以上を占めます。
一回起こると習慣性の脱臼になってしまうことも多いです。
症状
肩関節脱臼では健側と比較すると特徴的な外観となります。
上腕骨頭が前方に転移いているため三角筋が扁平化して肩峰が突出してみえ、肩関節は軽度の外転位になり、腕を戻そうとしても外転位に戻ります(ばね様固定)。
自動運動は不能となります。触診で肩関節の前方に上腕骨の骨頭を蝕知できます。
感覚障害を合併することもあり、腕神経叢の皮膚感覚地帯で腕神経損傷を合併している場合、肩外側に感覚障害が生じます。
神経断裂はまれで、整復後に自然に回復することがほとんどです。
施術
脱臼は徒手整復を基本として整復し、整復後、包帯固定やバンドなどで固定し約3~6週間安静が必要です。
外傷性肩関節脱臼の場合、肩関節を外旋位に固定が有効とされています。
徒手整復が不可能な場合や、再脱臼の原因となるような骨折を伴う場合は手術療法の適応となります。
肩関節脱臼は反復性脱臼に移行しやすく、特に安静とリハビリを中途半端で止めてしまうと習慣性脱臼に移行しやすいです。
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清田恵
引用元:病気がみえるVol11運動器・整形外科