既往歴
既往歴は、将来的な傷害発生の重要な危険因子として報告されています。
例えば、足関節および膝関節捻挫の既往歴を有する男性サッカー選手は、同じ部位に再受傷するリスクが高くなりました(オッズ比前者が4.6、後者が5.3)。
Ekstrand&Troppが、男性サッカー選手639名を1シーズンにわたって追跡した調査では、足関節捻挫の既往歴を有する選手の受傷リスクが2.3倍に上りました。
また若年男子サッカー選手においても、この危険因子を裏付けるデータが報告されており、既往歴を有する男女選手(年齢範囲U12~U18)が再受傷するリスクは2倍に上りました。
さらに、既往歴が2回以上の被験者ではリスクが3倍となり、再受傷リスクは受傷回数ととも指数関数的に増加するとみられることから、既往歴は若年サッカー選手に直接関連のある危険因子と考えられます。
エリート男性サッカー選手を対象とした研究
エリート男性サッカー選手の既往歴を危険因子として特定した研究があり、それによると、最初のシーズンを受傷した選手は、受傷しなかった選手に比べて、次のシーズンにあらゆる種類の傷害発生率が高くなりました(ハザード比:2.7、95%信頼区間:1.7~4.3)。
さらに、ハムストリングス、鼠径部、および膝関節を受傷した選手が、翌シーズンに同じ傷害を負う確率は2~3倍に上りました。
この結果は、選手に対する最初のスクーリングプロセスで既往歴を詳細に報告させること、受傷後の動作パターンが変化していないかを監視することの必要性を明らかにしています。
加えて、適切なリハビリテーションおよびトレーニング介入を実施し、適切な神経筋コントロールが発揮され、選手が「低リスク」の動作パターンを示していることを確認してから競技に復帰させることが必要になります。
引用・索引Michaud PA.Renaud A,and Narring F, Sport activities related to injuries A surver among 9-19 year olds in Switzerland,Inj Prev 7:41-45,2001.
Injury Prevention for Youth Athletes