ミニゲーム(SSG:small sided game)
高度なパフォーマンスが要求されるスポーツでは、トレーニング刺激が競技の要求と類似しているときに刺激が最大となります。
ミニゲーム(以下SSG)は、技術的、戦術的、身体的能力の向上を意図して開発されたサッカーに特異的なトレーニングプロトコルになります。
このようなSSGは通常、複数回のインターバル形式で行われ、選手の数もピッチ位の大きさも様々に異なり、ルールも変更されます。
SSGでは、選手に相当大きな有酸素性、無酸素性の負荷がかかることが報告されています。
4対4の試合の場合、相対的VO2maxの平均値は82%で、平均血中乳酸値は4.5~4.9mmolであり、実際の試合(11対11)よりも、各選手の高強度運動の回数は多くなり、またボールの支配時間も長くなります。
心拍数や乳酸値
Reilly&Whiiteらの報告によると、心拍数や乳酸値に関しては、HIITとSSGの間に有意差は認められなかったとのことです。
- HIIT:85~90%HRmaxで4分のランニングを6回、3分間の休息を挟んで行う。
- SSG:5対5の試合。4分の試合を6回、3分の休息を挟んで行う。
Rampininiらは、選手の数が減少するにつれて運動強度が増し、選手がボールに触れるチャンスも増えると示唆していますが、選手の数が少なくなれば技術的活動の頻度は高まるが、選手が特定のポジションと課題に制約されていないため、このドリルの戦略的な要素は制限を受けます。
さらに、ピッチの大きさも、選手の運動学に影響を与えます。
ピッチが広ければ、選手が決断し、行動を実行に移すための時間と空間が増え、逆にピッチの面積が狭くなれば、意思決定と行動の時間は減り、加速や減速、方向転換を行う可能性がより高まり、生理学的運動量と自覚的運動強度はより高まります。
ミニゲームの諸形式
選手の数 | ピッチサイズ(m) | 試合時間 | 概要 |
---|---|---|---|
3対3~4対4 | 25×20~30×25 | 2×6×1分(休息1.5分)~ 3×6×2分(休息1分) |
戦術的要素は限定的 各選手の活動回数が多い 高強度 加速/減速/方向転換が多い |
5対5~7対7 | 40×30~60×35 | 4×4分(休息2分)~ 5×8分(休息2分) |
戦術的要素は中程度 活動回数は中程度~多い 中強度から高強度 加速/減速と高速走行 |
8対8~11対11 | 70×40~90~45 | 3×12分(休息2分)~ 4×15分(休息2分) |
戦術的要素が多数 各選手の活動回数は少ない 低強度(活動間に回衣服時間がある) 高速走行が増加する 有酸素性活動により重点が置かれる |
引用・索引Rampinini E, Impellizzerri FM, Castagna C, Abt G, Chamari K, Sassi A, and Marcora SM. Factors
influencing physiological responses to small-sided games. J Sports Sci 25: 650–666, 2007.
Soccer Coaching Defending Drill: Small-Sided Game

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- 作者:林舞輝
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