ピリオダイゼーション
伝統的なピリオダイゼーションの方法(例えば、およそ4週間で、特定の要素に的を絞り、3:1の負荷パラダイムを使い、第1週から第3週までは漸進的負荷を用い、第4週は負荷を下げる)は、通常、1回の競技(陸上競技や格闘技など)に出場する直前に(<2週間)、選手がピークに達することができるようにするための手法になります。
しかし、伝統的ピリオダイゼーションはサッカー選手には必ず適しているとはいえません。
なぜならば、サッカー選手が、シーズン前のトレーニングでピークに到達したとするならば、その後、最長35週間もその状態を維持しなければならないからです。
そのため、伝統的なピリオダイゼーションは、オフシーズンやプレシーズン中には適していますが、シーズン中のチームスポーツには、非伝統的な(非線形の)ピリオダイゼーション形式がより適切であることが示唆されています。
この種のピリオダイゼーションは、同時に複数の目標を達成するためにセッションごとの多数のトレーニング処方と量負荷を取り入れます。
このシステムの長所のひとつとして提案されていることは、変わる可能性のある競技日程や強度に合わせてセッションを素早く調整し、実施できることにあります。
回復期間の重要性
注意すべき点として、最長35週間、ピークパフォーマンスを維持することは容易には達成できない目標であり、ある程度、筋力の維持に依存すると考えられています。
Kraemerらの報告によると、先発選手も控えの選手も、11週間の全競技シーズンを通して、パフォーマンスが低下します。
この低下は、合計試合数や練習およびコンディショニングの量負荷とは無関係に起こることが示唆されています。
これはシーズン前に誘導された異化環境(高いコルチゾール濃度、低いテストステロン濃度)が試合期に入った際の選手の代謝ステータスを決定する因子の可能性があります。
これは、特に試合期に入る前の回復期間の必要性を強調しています。
このような期間はテーパリングと呼ばれ、選手とチームのトレーニングステータスを確認するために、定期的な生理学的モニタリングを行うことが推奨されます。
年間マクロサイクルの例
準備期(一般準備期) | 準備期(SSPP) | 試合期 | 移行期 |
---|---|---|---|
2~6週間 | 3~4週間 | 30~35週間 | 3~4週間 |
1~2メゾサイクル | 1メゾサイクル | 6~8メゾサイクル、各4週間 | 休息 |
1~2試合のオープン戦 | 2~4試合のオープン戦 | 非伝統的な(波状形/非線形)ピリオダイゼーション | 休暇 |
伝統的ピリオダイゼーション | 伝統的ピリオダイゼーション | 最終15日は積極的休養(週2~3回) | |
他のスポーツを行う | |||
水泳 | |||
自転車 | |||
ジョギング | |||
柔軟性エクササイズ | |||
サイクル1のトレーニング目標 | トレーニング目標 | トレーニング目標 | |
筋力-持久力/筋肥大 | 筋力-スピード | 試合 | |
有酸素性能力(70~80%MHR) | スピード-筋力 | 筋力の維持 | |
コーディネーション | 最大速度 | パワーの維持 | |
可動性 | 乳酸性と非乳酸性能力の向上 | 有酸素性、無酸素性パワーの能力 | |
反応アジリティ | 十分な回復 | ||
サイクル2のトレーニング目標 | |||
筋力 | |||
有酸素性パワー(80~100%MHR) | |||
ランニングドリル | |||
コーディネーションと方向転換 |
シーズン中のミクロサイクルの例
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | 日曜 | |
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午前 | 休息 | 身体能力: 8対8または11対11 |
身体能力: 個人別の傷害予防およびSSGとRS |
身体能力: 筋力/パワー サッカー: 技術/戦術 |
身体能力: 個人別の傷害予防とスピード/反応力 サッカー:戦術重視の試合 |
休息 | チームの回復セッション 試合に出場しない選手のための 技術/コンディショニングセッション |
午後 | 休息 | サッカー: 技術/戦術 |
サッカー: 技術/戦術 |
休息 | 休息 | 試合 | 休息 |
引用・索引Kraemer W, Ratamess N, Fry A, Triplett-McBride T, Koziris L, Bauer J, Lynch JM, and Fleck SJ. Influence of resistance training volume and periodization on physiological and performance adaptations in collegiate women tennis players. Am J Sports Med 28: 626–633, 2000.
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