炎症反応
炎症は免疫系のきわめて重要な機能になります。
炎症について考える際、最も思い浮かべるのは、切り傷や打ち身などの傷害と炎症との関係です。
このような炎症の場合、組織の損傷が修復され治癒するように、傷害を負った部分に動員される多数の免疫細胞を増加させる役割を果たします。
このような場合は、あくまでも急性で短期間の現象であり、同時に、健康的な反応でもあります。
炎症
炎症は、「損傷あるいは感染に対する組織の局所的な反応」と定義されます。
炎症反応を引き起こす刺激は抗原、バクテリア、病原菌、組織の傷害/損傷など多数存在し、そのいずれかによっても炎症反応が起こる可能性があります。
炎症の過程では、通常、特有の免疫細胞が損傷/感染箇所に移動しますが、それらの細胞の産生と移動効率を高めるためにいくつかのメカニズムが関与します。
急性の感染や傷害に反応して、免疫細胞(好中球、単球など)を劇的に増加させ、タンパク質を作り出すことで反応します。
この免疫系の活性は、感染あるいは傷害が始まった後に低下し、この反応は健康的な反応であり、また生存する上できわめて重要になります。
しかし、急性傷害や感染症に対する通常の反応よりも低いレベルで、慢性的に炎症反応が活性化している状態は、いくつかの慢性疾患の経過に直接影響を及ぼすことが知られています。
C型反応性タンパク質(CRP:C-reactive protein)
C型反応性タンパク質(CRP:C-reactive protein)として知られている急性短期炎症タンパク質はその好例になります。
CRPには多くの機能があることが知られていますが、そのひとつが補体カスケード(抗原タンパク質を識別し破壊し、免疫系機能を「補助」することにかかわるタンパク質を合成する連鎖反応)を活性化することであり、また免疫細胞の食作用の活性化を促進することにあります。
通常、血液中には微量のCRPが存在することが確認されていますが、一旦感染や傷害が起こるとCRPは1000倍以上に急増することが確認されています。
急性感染症あるいは傷害と結びついたCRPのこのような劇的な増加は、通常、短期的なものですが、軽度の炎症を起こしていると血漿CRPが、それらの急性傷害や感染にい反応した際に、正常値よりも高い状態で慢性的に続くことがあります。
この場合、やや高いCRP(>3mg/l)は、炎症状態が持続的に高まっていることを示します。
慢性的な軽度の炎症は、心臓血管疾患や2型糖尿病など多くの疾病の病因のひとつであり、肥満と運動不足が、軽度の炎症を悪化させることが知られています。
引用・索引Roitt I, Brostoff J, and Male D. Immunology (6th ed). Edinburgh, United Kingdom: Mosby, 47–64, 2001.
C-Reactive Protein (CRP) | Inflammation | Acute phase reactant