無酸素性速度予備量
無酸素性速度予備量とはアスリートの最大スプリント速度とvVO2maxとの差であると考えられています。
無酸素性速度予備量が高いほど、vVO2max以上の高強度エクササイズの相対的な運動強度(無酸素性速度予備量の比率)が低下し無酸素性エネルギーの貢献と末梢疲労が減少します。
高強度での疲労困憊までの時間は、vVO2maxよりも無酸素性速度予備力とより強い相関関係があります。
無酸素性速度予備量は個人の無酸素性仕事量を考慮しています。
しかし、最大スプリント速度に近い強度での反復パフォーマンス中は、より大きな無酸素性性速度予備量がパフォーマンスに及ぼす負の側面(vVO2maxが低い場合)が考えられます。
無酸素性速度予備量と疲労指数
例えば、無酸素性速度予備量の増加は、反復自転車スプリント中の疲労指数と正の相関関係があることが報告されています。
これはおそらく、より低いvVO2maxが原因であること、つまり有酸素性エネルギーの産生が十分に運動中の回復プロセスを助けることができないために、休息中に疲労が生じることを意味します。
vVO2maxと最大スプリント速度の独立した変化およびそれらが無酸素性速度予備量の計算に及ぼす影響により、無酸素性速度予備量だけでは反復スプリントの平均タイムを改善を予測できないことが報告されています。
したがって、vVO2maxに無酸素性速度予備量の割合(%)を加えることによってトレーニングを個別化することが、無酸素性体力の向上にとって有益であると思われます。
vVO2maxと最大スプリント速度を単独に解析しないまま、無酸素性速度予備量のスコアを個人間で比較したり、パフォーマンスに関連づけて考えづけることは注意しなければなりません。
無酸素性速度予備量とパフォーマンスの関係
アスリート | vVO2max | 最大スプリント速度 (m/秒) |
無酸素性速度予備量 (m/秒) |
運動強度 (m/秒) |
生理学的反応 | 競技への応用 |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 6 | 11 | 5 | 8 | Bよりも無酸素性速度予備量が大きく、無酸素エネルギーの貢献度が低い。 | 持続的な運動中に利益をもたらす。ラグビーのスクラム、サッカーのセンターミッドフィルダーなど。 |
B | 6 | 9 | 3 | 8 | Aに比べ、無酸素性エネルギーの貢献が高い。疲労困憊により早く達する。 | |
C | 5 | 10 | 5 | 9 | Dより無酸素性速度予備量が小さく、疲労困憊までの時間が長い。 | Dと比較すると最大努力の運動に利益をもたらす。ラグビー、サッカーのウイングなど。 |
D | 4 | 10 | 6 | 9 | Cに比べ無酸素性エネルギーの貢献が高い。より早く疲労困憊に達しパフォーマンスも低い。 |
引用・索引Weyand PG and Bundle MW. Energetics of high-speed running: Integrating classical theory andcontemporary observations. Am J Physiol-regul, Integr Compar Physiol 288: 956–965, 2005.
Does Simulated Altitude Training Work? - Joe Goes Through Hypoxia Agony To Find Out