Yo-Yo間欠的回復テスト
Yo-Yo間欠的回復テスト(YYIRT:Yo-Yo Intermittent Recovery tests)は、スポーツ選手の反復運動能力と運動間の回復能力を評価するために作成されました。
テストは、各アスリートの体力レベルに応じて、低い場合の「レベル1」(YYIRT1)と高い場合の「レベル2」(YYIRT2)が用意されています。
Yo-Yo間欠的持久力テスト
Yo-Yo間欠的持久力テスト(Yo-Yo Intermittent Endurance test)でも同様に2つのレベルを利用できます。
YYIRT1は複数回の試技にわたり再現性があることが知られ、アスリートが走った総距離はVO2maxと有意な相関関係があります。
しかし、個人間の大きな差も観察され、例えば、きわめて近いVO2maxの値をもつ参加者の走距離が640mもの違いを示しました。
したがって、YYIRT1のパフォーマンスからVO2maxを推定することは正確とはいえません。
パフォーマンスの相違は、おそらく無酸素性エネルギー機構の貢献とシャトルに基づくプロトコルに埋め込まれた回復時間の違いに起因すると思われます。
裏付けとして、トレッドミルを用いたVO2maxの測定中よりもYYIRT1中の血中乳酸濃度(La+)が一層高いことが明らかとなっています。
Yo-Yoテスト中の生理学的状態
テスト中に最終的に到達する生理学的状態は最大超のVO2maxであると思われます。
10秒の休憩時間を取り入れているにもかかわらず、このプロトコルは、20mのシャトルの距離との関係で、高速ランニングリズムが徐々に乱れる弊害があり、これにより、異なる体力レベルのクライアント間で様々なテスト結果を生じることが報告されています。
YYIRT2も再現性を維持していますが、スタート速度がより速く、テスト終了までの時間が短いため、高度なトレーニングを積んだアスリートに適しています。
MRSとこのテストの相関関係が低いことが裏付けるように、このテストは無酸素性エネルギー機構の貢献を増大させます。
これらのテストに対するMRSは、最終完了段階で到達したスピードを用いるか、すでに作成されている等式とYYIRT1の値を用いることによって得られます。
最終段階での速度の使用は、20SRTで論じたのと同じ問題をはらんでいます。
すなわち、アスリートが同じ段階に達しても、完了したシャトルの回数が異なる場合があります。
このテストは、VO2maxに比べるとパフォーマンスの変化を検出する感度が高いため、フットボールなどの間欠的なチームスポーツではよく用いられます。
最大超トレーニング処方のためのテストプロトコル
テスト | プロトコル | 開始速度(km/時) | 速度の上昇 | シャトル の距離(m) |
回復時間(秒) | 最終速度の測定 |
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YYIRT1 | 2×20mのシャトルを完了後、2×5mの積極的休息をとる。 | 10 | 20 | 10 | 最後に完了した段階の到達速度を用いる。 | |
YYIRT2 | 13 | |||||
30-15IFT | 40m区間で30秒シャトルを行なう。 | 8秒 | 45秒の段階ごとに0.5km/時ずつ速くなる。 | 40 | 15 | 3回連続シャトルを行った後、到達しなかった3mゾーンに達しなかった際、vIFTが確定。 |
シャトル後、15秒積極的休息をとる。 | ||||||
各ラインまでのタイミングと30秒各段階の終了を知らせる音源を用意。 |
引用・索引Krustrup P, Mohr M, Amstrup T, Rysgaard T, Johansen J, Steensberg A, Pedersen P, and Bangsbo J. Theyo-yo intermittent recovery test: Physiological response, reliability, and validity. Med Sci Sports Exerc 35:697–705, 2003.
Yo-Yo Intermittent Recovery Test