女性の腱スティフネス
傾斜を用いた等尺性最大随意収縮を足底屈筋と膝関節伸展筋において発揮させた場合、腓腹筋内側頭の腱と腱膜、および膝蓋腱のスティフネスは、女性が男性に比べて有意に低くなりました。
このように女性の腱のスティフネスが低い(腱コンプライアンスが高い)ことが、先行研究において大腿四頭筋とヒラメ筋の動員が大きくなった要因の一端となっている可能性が考えられます。
腱コンプライアンスの高さによって生じる筋の活動増大は、SSC課題の伸張性局面における筋線維束の伸張を抑え、それによって筋腱複合体:MTU全体(ひいては関節)のスティフネスを維持するやり方は、MTUの腱部を過度に(そしておそらくは繰り返し)伸張させる可能性があるため、腱関連の障害発生リスクを高めるおそれがあります。
MTUのスティフネス
女性は腱スティフネスが低いことに加え、活動中のハムストリングスにおけるMTUのスティフネスも男性に比べて有意に低いことが明らかになっています。
先に挙げた先行研究の結果から、女性にみられるハムストリングスの高いコンプライアンスが同じ筋群の活動増大によって代償されているとは考えにくく、したがって、トレーニングを積んでない女性は、SSC課題において女性が大腿四頭筋優位となる原因になっている可能性があります。
また、ハムストリングスをうまく利用できないことは、女性における脛骨の前方移動とACL損傷の発生リスクを高めるおそれもあります。
引用・索引Tsang KK and DiPasquale AA. Improving the Q: H strength ratio in women using plyometric exercises. J Strength Cond Res 25: 2740–2745, 2011
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