病態の大枠を把握した後、身体機能についての評価を進めます。
実施すべき評価項目としては疼痛・姿勢・関節可動域(ROM)・タイトネス・筋力・スポーツ動作など多用であり、範囲としては腰部周囲に加えて足関節、股関節、胸郭、肩甲帯などと広範囲にわたるため、迅速かつ的確な評価の手技が必要になります。
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疼痛の評価
まずその位置と深さ、筋収縮の有無、重力の影響、疼痛のタイプなどの諸条件を考慮しつつ触診し、実際に疼痛を発している組織を探索します。
表層筋の過緊張による圧痛部位の触診は容易ですが、深部の筋や脊椎の疼痛を見落とさないよう注意が必要です。
姿勢の評価
脊椎では頚椎、胸椎、腰椎の彎曲や骨盤前傾などを観察し、加えて膝過伸展、股関節内・外旋、肩甲帯外転位など腰部アライメントに影響を及ぼす因子について観察を進めます。
また、スポーツにおける構えの姿勢や、基本動作中の姿勢についても可能であれば試合における動作パターンの確認が望まれます。
更には、姿勢調節の能力として、立位での骨盤傾斜のコントロールや頭部と肩甲帯も含めた上部体幹姿勢の調整の調整の可否についても把握しておく必要があります。
タイトネスの評価
病態分類と絡めて理解することが大切になります。 腸腰筋、大腿筋膜張筋、恥骨禁など股関節屈筋のタイトネスは、骨盤後傾を阻害することから伸展型腰痛の主因をなします。
また、背臥位で股関節を屈曲位から他動的に伸展させた時誘発される腰痛は腸腰筋のスパズムを示唆しており、急性の伸展型腰痛で見られます。
大殿筋やハムストリングスなど股関節伸筋群、そして梨状筋など深部外旋筋のタイトネスは、体幹屈曲運動における骨盤前傾を阻害することから屈曲型腰痛を誘発します。
一方、中殿筋のタイトネスは腰方形筋に過緊張を生みやすく、矢状面での骨盤コントロールの不良とも相まって様々な運動時痛に関与します。
ROM(関節可動域)の評価
ROMとしては股関節を中心として評価を進めますが、スポーツ種目によっては足関節から肩甲帯まで多くの関節のROM制限が腰痛の原因となりえます。
股関節の可動域制限は直接的に腰椎骨盤リズムに影響を及ぼすことから、施術上最も重要なポイントと言えます。
足関節背屈制限はバレーボールなどの構えにおける下腿前傾を減少させ、代償的に体幹前傾・腰椎前弯を増強する原因になります。
一方で、胸郭の回旋可動域制限は回旋動作を行うスポーツ動作を伴うスポーツ動作において代償的に腰椎の回旋を増強させることから、肩甲帯の運動を含めた胸椎運動についての着眼も重要になります。
筋力(MMT)の評価
徒手筋力検査法(MMT)での測定以外に、股関節機能や骨盤の安定化に関与する筋群について特殊な評価も必要になります。
例えば、大腿骨遠位端を抵抗とした股関節伸筋のブレイクテストは股関節外旋筋の大腿骨頭取り込み機能の評価として有用です。
骨盤の安定化に最も重要な役割を果たすのは下部腹筋群で、運動中に常時骨盤を安定させるには呼吸運動と独立して持続的に下部腹筋群のの緊張を保持する能力が要求されます。
腰痛お客に対して正常な腰椎骨盤リズムを習得させるには、そのために必要な筋活動パターンを学習させる必要があります。
例えば、伸展型腰痛の施術では腹筋群の緊張を保持しつつ股関節屈筋群を伸張させる能力が必要となることから、腹筋群の当尺性収縮と腸腰筋の遠心性筋収縮のパターン運動の可否を評価することも大切です。
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