プライオメトリックトレーニング
クロスブリッジとプライオメトリックス
クロスブリッジが保持される時間は、15~120ミリ秒の範囲であると推測されています。
エネルギーはその結合が分離した瞬間に失われるため、クロスブリッジ構造からのエネルギーの回復を増大させるためには、償却局面を最小にする必要があります。
反対にFleck&Kraemerは、償却局面が30ミリ秒の範囲内であると推定されるため、あまりにも長すぎてクロスブリッジの保持からはいかなる有意な貢献も得られないと仮定しました。
したがって、彼らは、SSC現象の原因としてクロスブリッジに代わるメカニズムが存在していると示唆しています。
しかし、Boscoらは、速筋(FT)線維と遅筋(ST)線維ではクロスブリッジの保持時間に違いがあり、両線維の粘弾性が異なることを示しています。
同様にSiffは、FT線維に富む筋は、速い範囲のSSCから利益を得ますが、逆に移行期がより長い、ゆっくりした大きなジャンプは、ST線維が多い筋に利益をもたらすと説明しています。
Schmidtbleicherは、これらを「短いSSC」と「長いSSC」と呼び、前者の接地時間(GCT:Ground Contact Time)は250ミリ秒未満であるのに対し(ドロップジャンプなど)、後者は250ミリ秒以上(CMJなど)であると説明しています。
収縮特性の力学
すなわち等尺性または短縮性の筋活動が続く際には、クロスブリッジが引き延ばされて「固定」された状態となり、よりゆっくりと解放されます。
さらに強縮した単一筋線維によって生じる張力は、予備伸張により増大することが明らかになっています。
他動的な筋の予備伸張が、収縮特性を力学的に変化させることも提案されています。
この増大は、予備伸張の速度に応じて増加することが明らかにされており、予備伸張後の時間の経過に伴い減少します。
最後に受動的な力の増大の説明として、M線からZ線まで、サルコメアの半分にも及ぶ巨大な構造タンパク質タイチンが、カルシウムに依存する方法でアクチンに結合し、その結果、筋が活性化してカルシウム筋小胞体から筋形質中に放出されると、タイチンが短縮して弾性が増すと考えられています。
引用・索引London Sport Institute Middlesex University London England University of Glamorgan Pontypridd Wales Unted Kingdom34-35 2014

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