柔軟性トレーニング
柔軟性トレーニングと筋骨格系
青少年は筋骨格系が常に変化しているため、この発達段階で用いられた柔軟性トレーニングによる利益が無駄になる可能性があります。
しかし、より成熟したアスリートは、定期的な柔軟性トレーニングを取りれることから利益を得て、筋骨格系を修正し、神経筋の効率向上に順応する能力が備わっていきます。
思春期前と成熟したアスリートのストレッチング
例えば、まだ成長スパートを体験していない思春期直前の14歳の中学生は、静的ストレッチングから利益を得られないかもしれません。
一方、より筋骨格系に成熟した18歳の高校生であれば、静的ストレッチングを取り入れることからきわめて大きな利益を得られる可能性があり、端的に言えば、アスリートの骨格の成熟や骨の成長に伴う筋や腱の変化が、ストレッチングを通して劇的に促進され、結果として若年アスリートの可動性トレーニングに何が必要かは、ほんの数ヶ月で変わる可能性があります。
以上の点を考慮すると、スポーツ障害の圧倒的多くは、可動域全体を通して静かにまたはゆっくりと組織を動かしているときよりも、むしろ、アスリートが運動し、急速な可動域の変化を体験している場合に起こるといえます。
運動前の最適なウォームアップ
大抵の傷害は1つ、2つの関節が動いている場合よりも、むしろ多数の関節が同時に動いている際に発生します。
その上、傷害は通常、アスリートが座位や仰臥位、あるいは伏臥位でいる場合よりも、むしろ自重のかかる姿勢で発生します(ただし、包括的な可動性プログラムでは、大多数の上半身エクササイズは本来オープンチェーンであるという事実が正しく理解されている)。
したがって、運動前の最適なウォームアップでは、自体重のかかる多関節運動に焦点を合わせ、可動域全体を使って徐々に動的な運動へとアスリートを誘導する必要があります。
そのようなウォームアップは疲労の影響もなく、全身運動が圧倒的に多いため、若年アスリートにとって、総体的な運動スキルの習得と向上の素晴らしい機会となり、結果的に、ウォームアップは可動性を改善するための最適な時間として役立ちます。
可動性ドリルは「動的柔軟性エクササイズ」または「動的ストレッチング」と呼ばれることが多く、いずれにせよ正しく選択すれば、運動前のあらゆる目標を達成するために活用できます。
引用・索引Bachele T and Earle R,eds,Essentials of Strength Training and Conditioning.Champaigh,IL,Human Kinetics,2008 397-402
21 Dynamic Stretching Warm Up Exercises

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