肘関節の理学的評価
肘関節の評価は、個々の関節、筋の評価のみならず、手関節及び、肩関節の評価も含めて、上肢として総合的に行わなければなりません。
可動域(ROM)の評価
屈曲、伸展、回外、回内についてその可動域を評価します。
※屈曲、伸展では前腕の肢位による変化の有無を評価します。
※回内、回外に関しては、橈骨の運動を正確に評価する為に、尺骨が固定される肘関節伸展位でも評価します。
※屈曲拘縮の原因は前方関節包の瘢痕化、肘関節の短縮であり、伸展拘縮原因は後方関節の、上腕三頭筋の短縮であり、中でも内側側副靭帯後者繊維の肥厚、瘢痕化が最も重要な因子であると報告されています。
エンドフィールの評価
屈曲
通常、エンドフィールは前腕の前面の筋腹と上腕の前面の筋腹間の圧迫による軟部組織性のもので生じますが、筋腹が小さい場合、尺骨鈎状突起と上腕骨鈎突窩の間の接触及び橈骨頭と上腕骨橈骨窩の間の接触のため骨性のものになるかもあり、また、関節包の後部と上腕三頭筋の緊張によって起こります。
伸展
エンドフィールは尺骨の肘頭と上腕骨の肘頭窩との接触による骨性のものであるが、関節包の前部、側副靭帯、上腕二頭筋、上腕筋の緊張によっても起こります。
回内
エンドフィールは橈骨と尺骨の接触のために骨性のものにります。 また、下橈尺関節の背側橈尺靭帯、骨膜間、方形靭帯、回外筋、上腕二頭筋の緊張によっても起こります。
回外
エンドフィールは下等尺関節の掌側橈尺靭帯、斜索、骨膜間、方形靭帯、円回内筋、方形回内筋の緊張により起こります。
※代償運動、また二次的な機能障害の確認をし、前腕の回内、可動域制限は、手関節及び、肩関節での代償運動につながりやすく、機能障害を起こしやすいです。
筋力評価・徒手筋力テスト(MMT)
肘関節は一つの運動に多くの筋が関与しているため、個々の筋力を測定するのは難しい関節です。
しかし、代償運動を出来るだけ起こさないようにし、肢位の変化や左右差を出来るだけ起こさないようにし、肢位の変化や左右差を比較することで、上腕・前腕間筋群、肩・前腕間筋群、前腕・手関節間筋群、尺骨・橈骨間筋を分けて評価することができます。
特にそれぞれの筋群がバランスをとって動いているかが重要であり、単にパワーとしての筋評価だけではなく、運動がスムーズに行われているかの評価も必要です。
屈曲筋力
回内、中間位、回外位で行う。 また、肩関節下垂位、挙上位で行う。
伸展筋力
通常の徒手筋力テスト肢位で行い、肩関節の肢位により活動する繊維が違うこから肩関節の肢位を変化させて評価する。
回内筋力
円回内筋、方形回内筋とを分け評価する。
回外筋力
上腕二頭筋の影響が最も少ない肢位と上腕二頭筋が最も使われる肢位の両方を評価する。
指・手関節伸展筋力
肘関節の支持も合わせて評価する。
※肘関節伸展筋力は屈曲筋力の70%であり、回外筋力は回内筋力より、15%強いと言われており、それぞれの拮抗する筋力のバランスも重要で、更に肘関節の筋は指・手関節・肩関節にも二関節筋として作用していることから、指・手関節・肩関節の筋力評価も非常に重要です。
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