疲労骨折などによって、椎骨が椎弓の関節突起間部で分離しものを脊椎分離症といいます。
さらに、分離した椎体が前方へ転移したものを脊椎分離すべり症といいます。
成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占めています。
脊椎分離症の主な原因は、成長期の過剰なスポーツ活動による椎弓の疲労骨折です。
椎弓の関節突起間部(上関節突起と下関節突起の間)の骨折・分離によって椎体間の支持性が失われます。
発生頻度に人種差や家族集積性が認められることから、遺伝的素因も指摘されています。
症状
腰部から臀部、大腿部後面の疼痛、下肢の放散痛、感覚障害、神経性間欠跛行などが自覚症状としてあげられます。
そして、背部の圧痛、叩打痛、分離部の圧痛、体幹後屈による、症状の増強、他動的な後側屈による放散痛がみられます。
鑑別診断として、腰椎椎間板ヘルニアがあります。
脊椎分離症や脊椎分離すべり症は後屈によって疼痛が増強しますが、椎間板ヘルニアは前屈によって増強する点が違います。
腰痛と神経症状
脊椎分離症では、椎弓の疲労骨折、骨折部の不安定性から生じる滑膜炎などから腰痛を呈します。
脊椎分離すべり症では、骨折部周囲に器質的変性が生じて、椎間板周囲組織の変性による腰痛、骨棘形成による神経根症状を呈します。
脊椎分離症では、神経根症状を呈することは少ないです。
X線像
X線検査では、45°斜位像や側面像で脊椎分離が確認できます。
慢性期になると分離部が偽関節を形成すると、テリアネックサイン(分離部が犬の首輪のようにみえる)がみられ骨癒合は期待しにくいです。
慢性期には、骨癒合は期待できないため、症状のコントロールを目指します。
変性脊椎すべり症
退行変性による椎間板や椎間関節の不安定性により、椎骨が前方転位する疾患で、脊柱管狭窄症の代表的な原因疾患です。
脊椎分離すべり症と異なって、馬尾症状を呈しやすいです。
40歳以上の女性に多いことから、加齢や女性ホルモンの分泌異常などの関与が指摘されています。
脊椎分離症、脊椎分離すべり症、変性脊椎すべり症の比較
脊椎分離症、脊椎分離すべり症、変性脊椎すべり症の大きな違いは馬尾症状の有無です。
脊椎分離症、脊椎分離すべり症は、椎弓が分離しているため馬尾を圧迫しません。
変性脊椎すべり症は分離していないため、椎骨全体の前方転位に伴い脊柱管を狭窄して馬尾を圧迫し馬尾症状を呈します。
腰痛、神経根症状は全体的にみられます。

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引用元:病気がみえる運動器・整形外科P264,265,266