大腿骨近位部の骨折は、高齢者の転倒で生じることが多い骨折の一つです。
骨粗鬆症に好発する受傷機転
大腿骨頸部骨折、大腿骨転子骨折は、骨粗しょう症により骨が脆弱になった高齢者、特に女性に好発します。
転倒した際に受傷することが多く、屋内での発生が多くみられます。
症状
受傷直後は、起立不能となり、股関節の疼痛を生じます。骨折後の肢位で、股関節は屈曲、外旋位をとり、短縮し、自動運動は不能となることが多いです。
大腿骨近位部の骨折の分類
大腿骨近位部の骨折は、股関節の関節面に近い側から、骨頭骨折、頸部骨折、頸基部骨折、転子部骨折、転子下骨折に分けられます。
高エネルギー外傷
交通事故、労働災害など高エネルギーによって起こりやすい骨折
大腿骨頭骨折
関節内骨折です。
大腿骨転子下骨折
関節外骨折で、骨癒合はやや不良です。
低エネルギー外傷
高齢者の転倒など低エネルギーによっておこりやすい骨折。
大腿骨頸部骨折
関節内骨折で、骨癒合は不良です。
大腿骨頸基部骨折
大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折のどちらにも分類できず、骨折線が関節包内外に及ぶものをいいます。
骨癒合は比較的良好です。
大腿骨転子部骨折
関節外骨折で、骨癒合は良好です。

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引用元:病気がみえる運動器・整形外科P330、331、332、333