ラグビーのタックルなどで上肢が後方に引かれた場合、肩関節の水平外転・外旋の強制により、上腕骨頭が臼蓋の前方に逸脱する「前方脱臼」が発生します。
これはまた、スクラムやモールなどの密集プレーでも同様の力学的機序で発生します。
その危険因子として、肩甲上腕関節の動揺性、肩甲帯のアライメント異常、不適切なスキルなどの3点があげられます。
これに対し、手術的施術の有無に関わらず、肩甲上腕関節の動的安定性の獲得、肩甲骨内転・下制位の獲得、上肢筋力の発揮時に肩甲骨内側縁が胸郭から浮く「機能的翼状肩甲骨」の改善、正しいスキルの獲得が再発予防に重要になります。
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動的安定性の獲得
一般に、脱臼や亜脱臼の他、誤ったベンチプレスやタックル動作など前方関節包への慢性的な伸張ストレスにより、肩の動揺性は増強されます。
一度生じた動揺性は、保存療法では躊躇な改善は期待できず、腱板筋群による動的安定性の重要性が増すことになります。
腱板筋群の強化にはチューブを用いた外転や水平内転の近位抵抗運動が初期には有効であり、ダンベルなどによる遠位抵抗運動は腱板機能の回復を待って開始します。
チューブを用いた肩の内外旋運動では、肩甲骨下制・内転位を保持し、菱形筋などとの強調を図ります。
三角筋、大胸筋、広背筋など表層筋の強化は腱板機能の回復を待って徐々に開始しますが、ベンチプレスなどでは前方動揺性を助長しないように配慮が必要になります。
腱板機能や肩甲骨周囲筋の協調性及び正常な関節運動パターンの獲得と、肩甲帯周囲の十分な筋力・筋量の獲得が、競技復帰の必要条件になります。
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