ウェイトトレーニング
ウェイトトレーニングはグラウンドでのリハビリテーションではありませんが、グラウンドでの動きづくりのベースとなる重要な項目です。
リハビリ期間全般を通じて患部以外の部位、特に体幹(肩、股関節、周囲筋の背面、腹筋群、起立筋群)を中心とした初動負荷理論(「初動負荷」とは「実際の運動に近い、自然な負荷(の与え方)」を意味し、運動の発動時に負荷のピークが存在することである。)を応用して関節可動域の増加、筋力アップを目的に行います。
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基本種目例
上半身
ラットプルダウン、プルオーバー、ベンチプレス、ベントオーバーローイング、バックプレス、腹筋トレーニング、背筋トレーニング
下半身
インナー、バックスイング、レッグプレス、レッグカール、スクワット、レッグランジ
直線での動き
この段階より実際にグラウンドを利用したリハビリに入り、同時に復帰までのリコンディショニングもスタートします。
ウォーキング
ウォーキングはすべての動きのベースであり、意識して修正しやすい動作なのでとても重要になります。
股関節の柔軟性を追求しながら実際の歩き方の矯正を行い、背部のアーチをしっかりと作り、同時に腹筋も軽く緊張させ、軸をぶらさないように片方の肩甲骨周囲筋主導で体幹を後方に引くようにして、そのねじれを利用し同側の骨盤を前に出し、下肢はそれに引かれるように少し遅れ気味に自然に前に出るようにして、膝は伸ばした状態で踵から着地します。
着地したあとは背筋-臀筋-ハムストリングスを動員しできるだけ長く踵で地面を掴みながら後方に押しやり骨盤を前に押し出すようにし、体重は踵から拇指球、拇指にかけて滑らかに通過するようにし、この時、上肢と下肢は意識して振ろうとか、前に出そうかとする必要はありません。
上肢は肩関節に、そして下肢は股関節にただぶら下がり、軸をぶらさず自由に、そして自然に肩甲骨や骨盤に引かれて前後に出るようにします。
トレーナーは歩いている選手の後方や側方や前方から観察し、上記のことが正しくできているかをチェックし可能な限り早い時期にウォーキングの一環としてKBW(ニーベントウォーキング)、後ろ歩き、踏み台昇降運動、速歩などをサーキット的に行い、痛みなどが出現した場合にはその時点で中止します。
ウォーキング+ショートジョギング
目的としてはローパワートレーニングになり、ジョギングはウォーキングにくらべ着地の衝撃が格段に大きくなるので、急激に時間数を増やすことは非常に危険なので徐々に増やすように心がけます。
グラウンドではコートをゴールライン、タッチラインを半分に区切り、6区面にし、それぞれの区画の中で、最初は10歩のジョギングを1回、その後は10~30歩までフォームを観察しながら周回ごとに増やしていきます。
ジョギングに関してもウォーキングと同様にフォームチェックを行います。
その時のインターバルはウォーキングを行い、その間に患部の状況を確認して、次の周回を増やすか現状維持なのか、中止なのかを決定します。
ジョギングを30歩行えるようになったあとは、タッチラインはジョギング、ゴールラインはウォーキング、または、タッチラインはウォーキング、ゴールラインはジョギングで1周を行います。
ここまで直線の動きなので特に回る方向は気にしなくても良いですが、次からコーナーもジョギングをすることになるので、障害によって痛みの出にくい方向を指示します。
上記のトレーニングが行えるようになった後は、サッカーコート2辺(タッチライン1辺+ゴールライン1辺)の連続ジョギング、次にあるタッチラインはレスト&チェックとしてウォーキングを行います。
その次はコート3辺連続ジョギング、残りの1辺はレスト&チェックとしてウォーキングを行い、それが行えるようであれば、コート1周のジョギング、そしてロングジョギングに移行します。
以上の内容に要する時間及び、期間は患部の状況により増減します(1日で終了する場合もあれば1周間かかる場合もあります)。
加速走
目的としてはミドルパワー、ハイパワートレーニングになります。 一定のスピードで45分間ジョギングが可能になったら加速走に入ります。
患部の負担を減らすためにジョギングから少しずつスピードを上げていき、目的のスピードに達したら、急にストップするのではなく、時間をかけて徐々に減速します。
ランニングパターンとしては前述のウォーキング+ジョギングパターンを利用します。
ランニング量とスピードは患部の状態とトレーニング目的によって徐々に増加することが望ましいです。
最終的には加速ピーク時に100%のスピードに達することが望ましく、このレベルまで患部が回復してきたら患部の様子をみてスパイスの使用を開始します。
ダッシュ
目的としてはハイパワー、ミドルパワートレーニングになります。 加速走でほぼ100%にランニングが行えるようになったら、ダッシュを取り入れた実践的なインターバルトレーニングを行います。
例) サッカーコート1周半を2分以内 ↓ コート1周を1分以内 ↓ レスト&チェックとしてゴールラインウォーキング ↓ コート半周を25秒以内 ↓ レスト&チェックとしてゴールラインウォーキング ↓ ゴールラインからハーフラインまでダッシュ ↓ 5分間ジョギング
上記を5セット行い、その前後に10分間ずつのジョギング、計20分を連続して行います。
このメニューはゲーム中に選手が移動する距離と、ランニングパターンを考慮して考えられています。
移動距離はジョギングとウォーキングのスピードに左右されますが、1万メートル以上、時間は約70分以上かかるように設定されています。
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コーン+ラダー使用での動き
目的としてはミドルパワー、ハイパワー、アジリティトレーニング、アジリティトレーニングになります。
これ移行のトレーニングはサッカーの動きに対し患部が耐えられるかどうかをチェックすることを第一の目的としています。
種目の組み合わせ、スピード、インターバル、セット数は障害の部位、種類、程度、トレーニング目的などを考慮して安全に行います。
注意しなければいけない事
- 急激に大きくまたは過剰な負荷で膝関節を伸展・外転する動作
- 痛みを伴うような股関節内転動作
- 痛みを伴うような腹筋動作
- バーベルを担いで過剰な負荷をかけ両股関節を前後に開いて深いスクワットをする動作
- ジャンプしながら両股関節を前後に開いて閉じる動作を繰り返す動作
- 股関節を急激に深く屈曲または内転・内旋することを繰り返す動作
コーン、ラダーの配置は自由ですが、出来るだけ狭いスペースで、ポジション別に動きを再現出来るように工夫しましょう。
ジャンプでの動き
目的としてはミドルパワー、ハイパワー、アジリティトレーニングになります。 この頃のトレーニングでは、ドクターの了承が得られれば、コーン+ラダー使用での動きの中で取り込んでも良いです。
コーンやハードルを利用したトレーニングよりも、患部の状態把握のために行います。
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サッカーサーキット
目的としてはバランス、連動性、ミドルパワー、スキルトレーニングになります。
例)前倒れ ↓ 後ろ倒れ ↓ 側転(左右) ↓ 飛び込み前転 ↓ 横倒れ(左右) ↓ スライディング(左右) ↓ ローリング(左右) ↓ 前転 ↓ 後転 を連続して行い、インターバルにはボールを使用した技術練習を行い、すべての動作を正確に行うことが重要です。
ボール使用での動き
目的としてはスキルトレーニングになります。
サッカー選手に対するリハビリテーションは、走ったり、跳んだり出来るだけでなく、ボールを蹴れなければ終了できません。
この項の基本キック、ドリブル、ショートパスは、コーン+ラダー使用での動き以降のトレーニングの中でインターバル時に行っても良いです。
ミドルパスからクロスボールまでは全身に負担がかかるので、リハビリの後半に行う方が良いです。
最終的には、プレースキックを正確に蹴れることが必要になります。
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