柔軟性の定義
柔軟性とは、「ある関節(または関節群)の運動可能範囲」になります。
柔軟性は、筋の緊張、アライメント、結合組織の硬さ、骨の変形などに規定されます。
柔軟性の指標
身体の柔軟性の指標としては、関節可動域、関節弛緩性テスト(general joint laxity test)、筋柔軟性テストなどがあります。
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関節可動域(ROM)
各関節には、関節を構成する骨の形態から、解剖学的にほぼ決まった可動範囲があります。
この可動範囲を関節可動域といい、最も一般的な柔軟性の指標になります。
競技現場においては、関節可動域は関節の正常可動範囲からの減少をチェックする目的で用いられます。
関節可動域の評価部位として足関節、膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節の6大関節をベースに、その競技特性を加味した評価部位を加えることが望ましいです。
例:野球、投擲競技は肩、肘を中心にチェックし、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでは頚椎、腰椎などの可動域もチェックする必要があります。
関節弛緩性
関節弛緩性は関節周囲の結合組織(関節包、靭帯など)の緩さの指標になります。
競技現場において、それらの結合組織が緩すぎるために発生する脱臼、亜脱臼や靭帯損傷などの危険性を評価するために用います。
関節弛緩性の評価
- a,手関節(thumb to the arm)・・・母指が前腕につく
- b,肘関節(elbow hyperexten-sign)・・・15度以上の過伸展
- c,肩関節(hand in hand on the back)・・・背中で手と手を組み合わせる
- d,股関節(plamto the floor )・・・手掌全体が床につく
- e,膝関節(knee recurvantum)・・・臥位にて踵が床より2横指以上離れる
- f,足関節(ankle doisiflexion)・・・膝伸展位30°以上または膝屈曲45°以上
以上の6大関節に脊柱を加えて7か所で評価することが一般的です。
左右のある6大関節は片側0.5点、脊柱は1点として、合計7点が最大値になります。
合計点が高い(5~7点)と関節が緩いと評価され、逆に低い(0~1点)と身体(関節)が固いと評価されます。
いずれの場合も障害発生のリスクは高くなります。
筋柔軟性の評価
筋柔軟性は、筋の伸張性をチェックするための指標になります。
骨の長軸方向への成長が著しい成長期には、相対的に筋は短縮した状態になり、伸張性が低下します。
また、筋が疲労した場合や骨折や靭帯損傷などでギプス固定した後にも伸張性が低下します。
このような筋の伸張性の低下は、肉離れや膝蓋靭帯絵、オスグッド病などの様々なスポーツ障害の原因となるために、定期的にチェックする必要があります。
一般的には、腰部~下肢を中心に筋の柔軟性を評価することが多いです。
腰部から大腿前面の筋として腸腰筋(膝抱え姿勢での床から膝窩の距離)と大腿四頭筋(伏臥位での踵部臀部間距離、HBD)、大腿後面の筋として大腿屈筋(ハムストリングス、SLR)、下腿後面の腓腹筋(立位膝伸展位での足関節最大背屈位)などをチェックします。
また、立位体前屈は、腰部傍脊柱筋、殿筋、ハムストリングスのすべてを反映しているために、簡便な指標になります。
これらの筋は、ランニングやジャンプ、ターンを繰り返す競技種目において、よく使われる筋であるために、それらの種目では重視する必要があります。
一方、野球、テニス、バドミントンなどの上肢を多用する競技種目では、前腕や上腕の筋柔軟性を評価する必要があり、上腕二頭筋では肘の伸展角度で、手関節の伸筋・屈筋はそれぞれの屈曲・伸展角度を用いて評価します。
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