サッカー選手と有酸素性能力
サッカー選手にとって有酸素能力を向上させることは、試合の終盤にも運動量を落とさずにパフォーマンスを維持するという目的に非常に大切な能力の一つです。
これは酸素を利用してエネルギーを産生する能力をいかに高めるかが重要なポイントになり、このことは、最大酸素摂取量(VO2max)が有酸素能力の優劣を決定します。
具体的には、心臓の働きによって、摂取した酸素を筋肉に供給する能力をアップさせることが重要なポイントなります。
そのためには、赤血球中にヘモグロビンを十分な量保持することが必要となりますが、ヘモグロビン量の減少、すなわち貧血という状態に陥ると、酸素の摂取・供給能力がダウンし著しい有酸素能力の低下がおこります。
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ヘモグロビン
貧血を防止するためには、上述の通り赤血球中のヘモグロビン量を確保することが重要となりますが、選手はランニング動作が多いため、足底に加わる重量刺激によって赤血球の破壊が日常的に起こり貧血を起こしやすくなります。
さらに、競技中やトレーニング中は心拍数が上昇し血液が毛細血管中を移動するスピードが上がることで、赤血球が破壊される可能性もあるとされているます。
従って、選手は貧血防止について常に配慮する必要性があります。
また、有酸素能力を高めるには、筋中のミオグロビンを十分に保持し、筋肉の酸素摂取・貯蔵能力を大きくすることが重要となります。
しかしながら、このミオグロビンはトレーニング中にかなりの量が筋肉から血中に流出していくとされています。(これは、筋肉の細胞膜が激しい収縮運動によって部分的に破壊され、筋中からの逸脱を招くためとされています。)
よって、筋中のミオグロビン量は、トレーニングを継続していく中で、少しずつ減少していき、筋肉の酸素摂取・貯蔵能力を低下させる原因になると考えられています。
これらのことから、選手は筋中のミオグロビン量を十分に確保する必要性があります。
そして、有酸素能力を決定するもう一つの要因であるミトコンドリア内の酵素、チトクロームについてはトレーニングで減少するとの指摘はありませんが、食事に鉄分が不足した場合には、チトクローム量も減少するとされています。
以上のことから、有酸素能力を向上させるためには、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロームの量を十分に確保する必要性があり、そのための食生活を考えることも重要な要素となります。
そして、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロームの量を十分に確保するための食生活のポイントは以下になります。
①鉄タンパク質の合成を促進するためにウエイトトレーニングを実施する。
高重量のウエイトトレーニングには、体内でのタンパク質合成を活発化する成長ホルモンの分泌を刺激する作用がある。
②深い睡眠を十分にとる。
睡眠状態に入って最初のノンレム睡眠に、成長ホルモンが分泌されてくる。
③夕食時にタンパク質と鉄分を十分に摂取する。
可能な限り、肉食品に含まれるタンパク質と鉄分を同時に摂取するとよい。
④鉄分を重点摂取する夕食で、鉄分の吸収を阻害する成分を含む食品を摂取しない。
具体的には、コーヒー、紅茶、烏龍茶、緑茶などの飲み物に多量に含まれるタンニンを避けることが一つの対策とある。
また、玄米や豆腐などに多いフィチン酸も、鉄分の吸収を阻害する食品成分であるため、夕食時にこれらを摂取することを避けることも有効である。
⑤鉄分の吸収を促進するビタミンCやクエン酸を夕食時に摂取する。
具体的には、レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類を積極的に摂取することが有効である。
有酸素性能力を高める食生活
これらのポイントを踏まえ、具体的に有酸素能力を高めるための食生活を考えると以下のようなものとなります。
夕食の直前にウエイトトレーニングを実施し、直ちに夕食ではタンパク質と鉄分を含む食事を摂取し、食後にオレンジやグレープフルーツを摂取し、深い睡眠に入ります。
また、ウエイトトレーニングを実施するタイミングとして、夕食を終え休息をとった後、就寝前を選ぶことも有効です。
ウエイトトレーニングを夕食の直前に行うのが望ましいのは、ウエイトトレーニングの直後にみられる成長ホルモン分泌の活性化がトレーニング直後から1~2時間程度しか持続しないためです。
成長ホルモンは、身体の各組織によるアミノ酸の取り込みを促すことでタンパク質合成を活性化しているため、成長ホルモンの分泌が高まっている時に、血中にアミノ酸をたくさん送り込むことが必要となります。
したがって、ウエイトトレーニングを実施したら、間隔をあけずに夕食を摂取するようにしなければウエイトトレーニングの効力を活用出来なくなるといっても過言ではありません。
一方で、夕食摂取後の就寝前にウエイトトレーニングを実施することが有効なのは、夕食で摂取したタンパク質が消化・吸収され、血中にアミノ酸が増大している時に成長ホルモンの分泌を活性化出来る合理性があるからになります。
さらにその後、睡眠によって成長ホルモンの分泌増大が引き起こるので、長時間にわたって成長ホルモンの血中レベルを高く維持することが出来るからです。
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Krieger JW.Single versus multiple sets of resistance exercise:A meta-Regression.J Strength Cond Res23:1890-1901.2009
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