肩こりの症状で悩んでいる方はたくさんいるのではないでしょうか?
厚生労働省による国民生活基礎調査(2015年度)における有訴者率で男の2位、女の1位を占める症状となっています。
肩こりと言われますが、後頚部から上背部にかけての筋緊張感、重圧感、鈍痛の総称で、「肩こり」は、症候名のひとつで、正式な病名ではありません。主に僧帽筋という頸~肩、背部にある筋に起こりやすいです。
肩こりは症候性、本態性、心因性に大別されます。
症候性肩こりは原因疾患を認めるもので、肩部や頚部のみならず、様々な部位の疾患が原因となるものです。
消化器系など、運動器と異なる部位の疾患で症候性肩こりをきたす理由としては、関連痛などの機序が考えられます。
本態性肩こりは、特別な原因疾患を認めないものです。
本態性肩こりの原因としては、頸部や背部が緊張するような姿勢での作業、長時間の同一姿勢、不良姿勢(猫背、前かがみなど)運動不足、精神的なストレス、などで肩、ショルダーバッグの使用、冷房などが考えられます。
心因性肩こりは、ストレス、うつ状態、自律神経障害などにより生じるものです。
肩こりの原因として、血行が悪くなると、痛みやこりが現れます。
長時間の同じ姿勢や悪い姿勢は、同じ場所に負担をかけ続け、その周囲の筋肉が緊張を起こします。
筋肉には収縮と弛緩を繰り返すことで血液を心臓に送るポンプのような働きがありますが、筋肉が緊張して硬くなると血管を圧迫してしまい、血流が滞ります。
血液は、食事や呼吸から取り入れた栄養や酸素を体の各所に供給するほか、二酸化炭素や老廃物、発痛物質や疲労物質などを回収して流し去る働きを担っています。
血行が悪くなると、本来なら流し去られるはずの発痛物質や疲労物質が筋肉に留まってしまうため、痛みやこりが起こるのです。
一般的にその個人の体系や生活様式に起因するものと、病気によって二次的に引き起こされるものとに分ける傾向があります。
冷えやストレス、喫煙は筋肉が緊張し、血行が悪くなく原因に
頸や肩のこり、腰痛、腕や手の痛みなどをさらに悪化させるものに、冷えやストレスがあります。
身体の冷えは、筋肉の緊張を招き、血流が滞り、また、ストレスは交感神経を活発にすることで、筋肉を緊張させます。
デスクワークなどで同じ姿勢を続ける人は、冷えやストレスにも気をつけましょう。
ちょっとした息抜きやリラックスとして喫煙という人もいますが、タバコは交感神経を興奮させ、血管を収縮させます。
さまざまな疾病のリスクも高まるので、禁煙に取り組むことをおすすめします!
身体のこりを防ぐには、正しい姿勢と血流促進
頸や肩のこり、腰痛、腕や手の痛みに悩む人は、まず正しい姿勢を心がけることがとても大事です。
特に、頸が前方に出る前のめりの姿勢を避け、同じ姿勢を続けるときはストレッチを取り入れて筋肉の緊張をほぐすと効果的です。
そして、全身の正しい姿勢と血流を促すには、適度な運動をしましょう。
家の中で手軽に対処できる事で、入浴や、ホットタオルで温める方法があります。
温まると血管が拡張して血行がよくなるので、滞留していた発痛物質や疲労物質を流し去ることができます。
頸は身体の中でも、頭、二つの腕を支えるとても重要な部分です。負担のかかりやすい場所なので日常生活でのケアが大切になってきます。
清田恵
引用元:厚生労働省ホームページ(国民生活基礎調査)、病気がみえるvol.11運動器・整形外科P48