頸部や上肢にわたって連鎖的なしびれや疼痛を生じるが、原因が特に明確ではない疾患群を頸肩腕症候群といいます。(頸椎疾患、胸郭出口症候群などの器質的異常が明らかなものは除外します。)
かつてはキーパンチャーやタイピストの労働災害として知られ、キーパンチャー症候群とも呼ばれました。
最近では、主に仕事が原因でおこっているこの病気のことを、頸肩腕障害と呼ぼうということになり、その予防対策や治療について、いろいろと研究が進められています。
原因・症状
前傾姿勢など一定の姿勢で長時間手指を使う作業や単調なデスクワーク、ストレスなどが原因と考えられています。
若年女性、よく手を使う作業をする人、同じ姿勢で作業をする人、長期パソコンを使う作業などに従事する人などは徐々にコリや痛みが出てきます。疲労の蓄積が慢性的なコリや痛みにつながります。
そして、良くなったり、また元に戻ったりを繰り返します。
肩が凝る、首筋が凝る、前腕がだるい、背中が痛い、腰が痛い、手が冷たい、脚が冷える、手にハンドバッグなどを下げているのがつらい、電話の受話器を持っているのがつらい、不眠、頭痛などで頚肩腕の疲労と自律神経の失調が目立ちます。
ひどくなると腕時計をはめているのさえ苦痛になります。
頸部・肩、背部、上肢などに筋のこり、だるさ、しびれ、疼痛、動きの悪さなど多彩な症状がみられるが、神経学的異常所見は認められません。
持続的な筋力が低下します。
頭部保持テスト、上肢保持テスト、下肢挙上テストなどにて誰にでも容易に判断できます。
業務との関連性が明確であって、機能的または器質的異常がみられる場合、頸肩腕症候群と呼ばれる場合があります。
治療
まずは、原因を自身で理解し、原因をなくすことが大切です。
仕事が原因だとしたら、これを軽くしていくことです。
病気のあらわれ方は、一人一人の顔が違い、体つきが異なるように、少しずつ微妙に違っていきます。
体、心を休める、食事、衣類、靴などの見直す、筋肉の疲れをとる、運動をして疲れをとるなどをして痛みを我慢してはいけません。
そして、規則正しい生活、食事、睡眠、冷暖房など日常生活を改善していくことで症状の回復、予防になります。
温熱療法、NSAIDs内服、筋弛緩薬投与など治療法はありますが、運動療法として、姿勢の改善、ストレッチはとても大切です。
引用元:病気がみえるvol.11運動器・整形外科P299
清田恵