運動療法における子どものメディカルチェックの目的は、子どもの身体の遺伝的背景、既往疾患、外傷による機能異常の有無、発育途上における解剖学的、機能的発達過程、身体的形態の特異性などより、その時点における子どもの身体的能力を多方面から正しく判断し、体力、運動能力の向上を図る基礎的データをとることが非常に重要です。
遺伝的疾患および先天性疾患の有無
筋骨格系に異常をきたす骨系統疾患の存在、遺伝的疾患でなくとも四肢に奇形、欠損をきたす先天性疾患については十分なチェックが必要になります。
内科的な疾患のてんかん、血友病の存在は競技現場にて発症、または出血が止まらないという問題が発生する可能性も視野に入れ注意が必要です。
多指症など再建術を行っているものも部位により、運動機能に影響をきたすものも確認が必要です。
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既往疾患および外傷の有無
整形外科的な見地より、筋骨格系疾患に限れば筋性斜頚、先天性股関節脱臼、内反足を主体とする乳幼児期の疾患は、関節運動に影響をもたらします。
既往の外傷で十分に注意を払わないといけないものは、骨折、特に長管骨の長さの発育に影響を持つ骨端核の損傷を伴うものです。
また、関節に近い外傷により遺残する関節の変形や可動域制限、腱損傷を伴う外傷による関節運動障害なども重要な所見になります。
年齢的発育過程の評価
ある年齢において子どもの発育状態が、正常範囲内か、早熟か、遅滞しているかの判断は非常に難しく、男女間において当然性差は認められますが、同性、同年齢であっても、歴年齢(chronological age)が用いられているために発育過程を判定することは難しくなります。
生理学的年齢(生物学的年齢)(physiological or biological age)といわれる身長、体重、比体重、歯牙発育、二次性徴などによる表し方、さらに骨年齢(skeletal age)という骨格の発育過程により判定する方法もありますが、統計学的に決定する以外に正しい評価をすることが難しいのが現状です。
しかし、一般的計測値である身長、体重、座高の高さの測定は不可欠で、年度別標準値と比較し評価することが重要です。
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引用・索引 運動療法ガイド”正しい運動処方を求めて”