筋力増強運動の生理学的背景
筋力の維持あるいは増強のためには筋が収縮し適度な緊張を生じることが不可欠となっています。
生理学的に筋収縮の強さはそれに関係する運動単位の数とその興奮程度に左右されます。
- ①随意性の強さと意欲の程度
- ②中枢神経系経路との連絡の程度
- ③シナプス抑制度
上記の3つの因子は筋収縮をさせるシナプス形成、最終共通路(final common pathway)の割賦制度が筋力の発現に大きく関係していることが示されています。
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中枢神経系の適応
レジスタンストレーニングを開始して初期の間(1~2ヶ月)は著しく筋力が増強しますが、筋の横断面積はほとんど増加せず、この間には横断面積当たりの筋力が増強することを示唆しています。
初期の筋力増強は神経系に適応があり、中枢神経系、ゴルジ腱器官などの筋力発揮の抑制が低下するために起こるとされています。
※ある程度トレーニングされている選手などは神経系の適応を引き出すには90%RMの高強度トレーニングが必要とされています。
神経系の適応が上限をこえた時に、ようやく筋の横断面積の増大(筋肥大)が起こります。
リコンディショニングにおいて
選手の復帰を考えた時期の筋力増強の効果は最大筋力の40~50%で起こり、20~30%の強さとになると増強の効果は無く、20%以下になると筋力の低下が起こります。
※Hettingerは毎日数回6~10秒の等尺性収縮を行えば筋力は週あたり3~4%の割合で増強するともいわれています。
等張性と等尺性収縮
等張性運動は動的収縮という点でROMの増加や筋ポンプ作用の割賦、運動覚の刺激の向上という利点がありますが、筋力増強に必要な筋の最大緊張を全ROMで得にくいという欠点があります。
等尺性収縮は筋の最大緊張を得る点では優れていますが、関節運動を生じないので等張性収縮で見られる利点が失われてしまいます。
選手の筋萎縮や筋力低下に対して適切な評価や施術を実施するには、筋の構造・生化学などを基礎にその正常生理や病態生理の理解が不可欠になります。
引用・索引 理学療法概論
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