ウォーミングアップの生化学反応と生理学観点
運動による体温の上昇
- 酸素の供給量増加:ヘモグロビンの酸素解離曲線が右に移動するため、酸素の解離が容易になって活動筋に対する酸素の供給が多くなります。
- エネルギーの発生:生化学反応が促進されるために多量のエネルギーを発生させます。
- 筋粘性低下・障害予防:筋の粘度が低くなるために俊敏な動きを行いやすく、運動による障害のリスクが軽減します。
- 体温上昇の軽減:トレーニングの継続によって、一定強度の運動による体温上昇が軽減されます。
呼吸・循環器系に対する効果
運動を始めた段階で以下の現象と心拍数の増加が始まります。
- 精神的興奮
- 全身からの血液還流量増加に伴う右心房や大静脈の内圧の高まりにより、反射的に心拍数が増加しベインブリッジ反射が働きます。
- 体温上昇
- 副腎皮質ホルモンのアドレナリン分泌
- 交感神経の緊張
運動をすると二酸化炭素や水素イオンなどの代謝産物が呼吸中枢を刺激し、横隔膜や呼吸筋の活動が活発になり、これにより肺に十分に酸素が送り込まれ、消費された酸素量と取り入れた酸素量のバランスが図られます。
このバランスを取るまでの時間が長すぎると乳酸が多く蓄積し、早く疲労が生じ運動が十分行いにくくなります。
酸素不足の減少
運動をいきなり始めると、酸素摂取量が指数関数的に上昇し、需要に対して供給が間に合わず、運動の初期には酸素不足が生じます。
酸素不足分は無酸素性エネルギーによって補われ、このために乳酸が急激に蓄積し、筋や血液が酸性になるなどの運動のパフォーマンスが急激に落ちるなどエネルギー産生に支障をきたします。
※ウォーミングアップを行うことで酸素摂取量が容易になり、それにより酸素摂取量の立ち上がり勾配が急になり、その結果、運動初期の酸素不足は少なくなり、運動中に利用できる有酸素エネルギーは増加するので運動の遂行に有利になるとされています。
引用・索引Effects of Performing Endurance and Strength or Plyometric Training Concurrently on Running Economy and Performance37-45
Football Warm Up Exercises ► Soccer Warm Up Stretches

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