踵骨骨端部に生じる骨端症で、10歳前後の男児に多く、明らかな誘因はなく踵骨結節部に痛みを訴えます。
成因は、繰り返されるアキレス腱の牽引力によって発生します。
おもに、発育期の子どもの弱い踵骨骨端部(かかとの骨の端でアキレス腱が付着しているところ)にダッシュやジャンプなどの運動を繰り返すことで負荷がかかり、そこにアキレス腱の引っぱる力が持続的に加わることで、踵骨に血流障害が起こり、踵骨骨端核の壊死、または骨軟骨炎を発症します。
いわゆる骨端症のうち、オスグット・シュラッター病の発生機序と類似しています。
症状
セーバー病は主に、かかとの腫れ、圧痛、歩行時痛がみられます。
過激な運動のあとに症状が出ることが多く、かかとの痛みのため、つま先歩きになることもあります。
治療
局所の安静とし、過激な運動は中止して経過をみます。痛みが強く続く場合には、松葉杖を使用することもあります。
また、踵への負担を減らすため足底版をしようたりもします。
成長期を過ぎればほぼ完治するため、予後は一般的に良好です。
骨端症とは
骨端症は発育・成長期の骨端にみられる阻血性の骨壊死の総称で、長管骨や短骨、骨突起に発症します。
多くは経過とともに骨組織が修復され再生しますが、骨変形を生じる場合があり、予防を目的としたストッレッチなどが大切です。
主な骨端症
・離断性骨軟骨炎(OCD)...上腕骨小頭などで障害され、10~14歳男子に好発
・パンナ―病…上腕骨小頭で障害され、4~10歳の男児に好発
・キーンベック病…月状骨で障害され、10~450歳代の男性に好発
・プライザー病…手の舟状骨で障害され、ステロイド大量投与を受けた者に好発
・ショイエルマン病…脊椎椎骨で障害され、13~17歳の男子に好発
・坐骨結節骨端症…坐骨結節部で障害され、11~成人の者に好発
・ペルテス病…大腿骨頭で障害され、6~7さいの男児に好発
・シンディングラーセンヨハンソン病…膝蓋骨で障害され、10~14歳の男子に好発
・ブラント病…脛骨近位内側で障害され、1~3歳、6~8歳以降に好発
・オスグットシュラッター病…脛骨粗面部で障害され、10~15歳に好発
・セーバー病…踵骨で障害され、10歳前後の男児に好発
・ケーラー病…足の舟状骨で障害され、3~7歳の男児に好発
・フライバーグ病…第2.3中足骨部で障害され、10~18歳の女子に好発
引用元:標準整形外科学第8版 P200.578
清田恵