膝伸展力
下半身の筋力の目安として、大腿四頭筋による膝伸展力(レッグエクステンション)がよく用いられます。
スプリンターと長距離ランナーでこの力を測るとスプリンターのほうが大きな力を発揮します。
しかし、筋電図を用いて膝伸展力を発揮している時の膝伸展と膝屈筋(ハムストリングス)の活動を調べてみると、スプリンターでは屈筋がかなり強く活動するのに対して、長距離ランナーでは屈筋がほとんど活動しないという報告があります。
※膝伸展力の発揮についてはスプリンターより長距離ランナーのほうが拮抗筋の抑制が上手であることになります。
https://nakajima-bonesetter.com/blog/post-13969
2つの矛盾点
上記のような矛盾が生じる理由として、下記の2つの事が考えられています。
- ①スプリンターの動作では単純に強く膝を伸展するのではなく、強調的に膝と股関節を伸展することにあり、膝を伸展するときに、股関節の伸展であるハムストリングスもほぼ同時に活動し身体を前方に加速するための力を効率的に生み出す神経系の作用が作られるためです。
- ②安全性の問題で膝関節が最大筋力を発揮すると膝関節には500kgを超える力学的ストレスがかかり、このようなストレスで膝が壊れないようにするために拮抗筋をはじめとするいくつかの筋群を動員して、動作中に膝関節を安定させる必要があると考えられています。
したがって、レッグエクステンションでの筋力発揮には長距離ランナーのほうが上手ですが、より広い視点での筋力発揮についてはスプリンターのほうが上手という事になります。
トレーニングにおいて「拮抗筋をバランスよくトレーニングする」「スクワットなどの多関節動作の種目を優先的に行う」が重要な理由のひとつにもなります。
https://nakajima-bonesetter.com/blog/post-6956
引用・索引 究極のトレーニング 石井直方
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