肩鎖関節脱臼は、肩鎖関節の安定化に関わる肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯が損傷することによって生じる脱臼です。
ラブビーや柔道などのコンタクトスポーツ時や交通事故で、肩を下にして転倒した際に受傷することが多いです。
病態
肩を下にして(内転位)転倒した際、肩峰の上方に外力が加わる(直達外力)ことによって、肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯の損傷により鎖骨が転移します。
損傷程度によって捻挫(Ⅰ度)、亜脱臼(Ⅱ度)、脱臼(Ⅲ度)と分類されます。
捻挫(Ⅰ度):肩鎖関節の捻挫で、靭帯の損傷はない。
亜脱臼(Ⅱ度):肩鎖靭帯はきれているが、烏口鎖骨靭帯は切れていない。亜脱臼を呈する。
脱臼(Ⅲ度):肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯ともに断裂し、鎖骨は上方に転位する。
症状・所見
患側は鎖骨遠位端の突出、疼痛、圧痛、腫脹、上腕の挙上運動制限などがみられます。
大抵は鎖骨の先端周囲の痛みであることが多いでが、ピンポイントに鎖骨の先端だけが痛いとは限らず、周辺の痛みを訴える方もいます。ピアノキーサインといって突出した鎖骨遠位端を押すと征服されますが、離すと再び浮き上がるという症状もみられます。
損傷度合いも大切ですが、鎖骨外端骨折との鑑別もとても重要となり、骨折の場合、腫脹、皮下出血斑が著明にみられます。
X線像
X線像では、損傷度合いによって鎖骨遠位端が肩峰より上方に転移している所見が認められます。
鎖骨外端骨折との鑑別も重要です。
治療
脱臼の程度により治療方法を選択します。
Ⅰ度、Ⅱ度の場合、保存療法(三角巾や、包帯、装具などでの固定)を適応として、。Ⅲは保存的治療でという意見と手術を勧める考えとがあります。
引用元:病気がみえるvol.11運動器・整形外科P340