人の筋肉のを構成する筋線維は、速度が速く持久性に乏しい「速筋線維」(first-twitch fibers FT)と、速度が遅く持久性の高い「遅筋線維」(slow-twitch fiber ST)に分類することができます。
※速度の違いは、主にエンジンの役割を果たすミオシンの違いにより、速筋型ミオシンと遅筋型ミオシンに分かれ、速筋型ミオシンが運動する速度は遅筋型ミオシンに比べ2倍ほど速い事がわかっています。
持久性の違いは酵素を用いて効率的にエネルギーを産生するための酵素群(呼吸系酵素)の量が、遅筋線維で圧倒的に多いことによります。
※実際の筋線維は、これらで決まる速筋的な性質と遅筋的な性質がさまざまな割合で混在したものですが、ある標準以上速筋的性質の強いものを速筋線維、逆を遅筋線維と分類します。
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筋線維組成はまず遺伝で決まる
筋肉の中の速筋線維、遅筋線維の割合(通常%FT、%ST)を筋線維組成と呼びます。
※少なくとも動物実験では生まれてから幼児期までの間ではほとんど100%が遅筋線維で、成長とともに速筋線維が増えてくることもわかっており、この間の環境要因が成長後の筋線維組成に強い影響を与えるとも考えられています。
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持久的トレーニングで遅筋線維が増える
環境が筋線維の性質を変えることは持久的トレーニングで確かめられています。
※ウサギの運動神経の横に刺激電極を挿入し、筋肉が一定のリズムで持続的に活動するようにして飼うと速筋線維の中に遅筋型ミオシンが現れはじめ、1ヶ月ほどで完全に速筋型ミオシンと入れ替わります。
逆に高強度の筋力トレーニングによって筋線維の性質がより速筋型になるかについては、いまだにわかっておらず、むしろ「あまり変わらない」または「中間的なタイプの筋線維が増える」ということが定説になっており、「マラソン選手には努力でなれるが、スプリンターは遺伝で決まる」という結論が導かれます。
※ところが、はっきりと速筋線維が増える場合があり、それは宇宙飛行をして無重力空間に置かれていたり、ギプス固定されていたりして筋肉にかかる負荷が無くなったり、筋肉の活動が極めて低下した場合になり、このような場合、筋肉は萎縮しますが、それにともなって筋線維がより速筋型になります。
最近の研究で、筋肉に強い負荷を与えたトレーニングを行わせ、その他の時間は負荷を完全に除くようにすると、筋萎縮はかなり抑えられ、しかも速筋線維の割合が増えることが示されました。
「スプリンターを目指す人は、強度の高いトレーニングを集中的に行い、その他の時間は完全に負荷を除くほうが良い」トレーニング以外の時間帯にいかに筋肉と身体をリラックスさせるかということが重要と考えられます。
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引用・索引 究極のトレーニング 石井直方
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