炭水化物食品をどのように食べるか、献立や調理法によって食後の血糖上昇反応が変わることに加えて、同じ食事を食べても、食べる人の身体のコンディションが違うと、食後の血糖上昇反応に大きな違いが出てくることがわかっています。
これは、大学の陸上長距離選手を被験者にして得られた科学情報になり、夕方の5時から6時30分まで20km走を、数日空けて2回走ってもらい、グループを半分に分けて、夕食をランニング終了の30分後か2時間30分後に食べてもらいました。
このようなトレーニング後の夕食のタイミングの違いは、運動で消費された筋肉や肝臓のグリコーゲンの回復に差をつけます。
※一般的にトレーニングのすぐ後に食事をとると、グリコーゲンは速やかに回復しますが、2時間以上も間隔を空けて食事をとると、その回復は半分程度に終わってしまいます。
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食後の血糖上昇反応
体組織のグリコーゲン貯蔵が十分であるか、不十分かの違いで、翌日に朝食を食べた場合、その後の血糖上昇反応は大きく違ってきます。
※夕方の激しい運動の後、すぐに夕食を 食べた場合、朝食後の血糖反応は常識的な上昇反応を示しましたが、夕食を運動の2時間後30分後に食べた場合には、朝食を食べたにも関わらず、食後に血糖は少々低下してしまうという反応を見せました。
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食後の血糖上昇反応の違い
これは主として肝臓のグリコーゲン貯蔵が満杯になっているか、それとも不十分であるかの違いによるものと考えられます。
※朝食(ごはん、ハムエッグ、サラダ、味噌汁、漬物)で摂取されたご飯のデンプンはグルコースに消化された後に吸収され、門脈を通って肝臓に取り込まれますが、もし、肝臓にグリコーゲンが十分に貯蔵されていれば、肝臓に取り込まれたグルコースはほとんどが肝臓を出て心臓に向かい、そこから全身に送り出されます。
肝臓にグリコーゲンが十分に貯蔵されていないと、肝臓に取り込まれたグルコースはそのまま肝臓でグリコーゲン補充のために使われてしまい、心臓に送り出されるグルコースがほとんどないという事態をつくり、食後の血糖上昇反応が見られないことになります。
競技を行う選手は夕方に激しいトレーニングをしますが、トレーニング終了後1.5~2時間も過ぎてから夕食を食べるのを当たり前としている選手も多くなります。
※一流選手を抱えるチームの場合、朝食後の血糖値が異常に低い事を確認することが多いようで、これは前日の夕方のトレーニングで消費されたグリコーゲンが十分に回復していない選手が多いことを示唆しています。
食事や食品の血糖上昇反応は食べる人間の側の生理的条件によっても大きく変動するので、特別な条件下で測定、算出された指数には絶対的な価値があるわけではないということを十分に理解しておく必要があります。
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引用・索引 実践的スポーツ栄養学
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