ヒトゲノム(遺伝子情報)解析が一段落し、個人差や体質にかかわる遺伝子の研究が盛んに行われるようになってきています。
遺伝子は、私達の身体をつくるタンパク質の”設計図”といえ、遺伝子DNA上には、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、という4種類の塩基が連なっていて、これらの塩基の配列の順序が一種の暗号となっています。
※たとえば、筋肉タンパク質であるミオシンが作られる時は、ミオシン遺伝子(MHC)上の暗号が読み取られ、これをもとにミオシンが合成され、このような過程を、「遺伝子の発現」といいます。
※父方由来の遺伝子と母方由来の遺伝子がまったく同じ場合を「ホモ接合」、それぞれが異なる場合を「ヘテロ接合」といいます。
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速筋線維に発現するACTN3
ACTN3という遺伝子はα-アクチニン3というタンパク質をコード(設計図となる)している筋線維のZ膜という構造を作るタンパク質です。
ヒトのα-アクチニンにはα-アクチニン2とα-アクチニン3の2種類があり、それぞれの遺伝子をACTN2、ACTN3と呼びます。
※ACTN2は速筋線維と遅筋線維の両方で発現していますが、ACTN3は速筋線維のみに発現している事がわかっています。
ACTN3の多型とスポーツ能力
オーストラリアのYangら(2003)はさまざまなレベルの運動選手を対象として、ACTN3の遺伝子型の頻度を調べ、次のような結果を報告しています(R/R:R/X:X/Xのおよその存在比で示す。男女とも同じ傾向)。
一般人で3:5:2、オリンピックレベルのスプリント/パワー系選手で5:5:0、オリンピックの持久系競技選手で3:4:3と、この結果から少なくとも一つのR型遺伝子を持っていることが、スプリント/パワー系競技には有利に働くことが示唆されています。
※ACTN3には、α-アクチニン3のアミノ酸配列の中で577番目のアルギニン(R)の暗号となるべきところが、「暗号の読み取り終了指令」(X)に置き換わってしまう変異30~40%という高頻度で存在します。
※正常な遺伝子を「R」、変異を持つ遺伝子を「X」と略称し、したがって、私達のもつ遺伝子型は「R/R」(正常型ホモ)、「R/X」(ヘテロ)、「X/X」(変異型ホモ)の3通りが生じます。
※X/X型では、正常なα-アクチニン2が肩代わりをすることで、筋線維としての機能は維持されると考えられています。
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引用・索引 究極のトレーニング 石井直方
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