筋力の増大と電気刺激
健常な筋においては、EMSトレーニングによって引き起こされる筋力の増大は、従来の随意的なトレーニングによって達成されるものと同程度(かつ補助的位置付け)であり、それを上回ることはありません。
Baxらの研究によると、大腿四頭筋が損傷している(受傷後または手術後)場合、EMSトレーニングは随意的トレーニングよりも有効な可能性があるが、大腿四頭筋が損傷していない(健常)場合は、EMSトレーニングの効果は随意的トレーニング様式よりも低いと示されました。
EMSトレーニングによる筋力の増加を促すもの
短期的な適応
EMSトレーニングによって引き起こされる筋力の増加を媒介するものは、主として筋の活性化増大などの神経系の適応であり、これは特に短期間のトレーニングプログラムの場合に当てはまります。
長期的な適応
一方、長期にわたるEMSの処方は、形態的変化を引き起こす可能性があります。
Gondinらは研究で、神経筋がEMSストレングストレーニングに適応する経過を示し、4週間のトレーニング後、筋の活性化増大に伴って筋力の増大が生じましが、筋の横断面積は有意な変化を示しませんでした。
興味深いことに8週間のEMSトレーニング後は、神経の適応と筋の適応の両者が筋力の向上を媒介することが認められました。
EMSトレーニングが筋力を増大させる条件
- 筋が損傷していない場合、EMSは効果的であるが、その効果は随意的トレーニングに勝るものではない。
- 筋が損傷している場合、EMSは随意的トレーニングよりも効果的である可能性がある。
- アスリートの場合、EMSは必ずしも特定の筋ではなく、全体的な筋力の増大に効果的である。
以上の研究は、従来のストレングストレーニングの補完的な役割としてのEMSの可能性を示しています。
引用・索引Irrcher I , Ljubicic V,Hood DA :Interactions Between ROS and AMP kinase activity in the regulation of PGc-1a Transcription in skeletal muscle cells .Am J Physiol Cell Rhysiol296:C116-C123.2009

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