伸張性トレーニングとハムストリングス
伸張性トレーニングに反応してサルコメア数が増加する
伸張性トレーニングを含む臨床研究では、ハムストリング損傷の発生率が低下する効果があると報告されています。
これは、伸張性エクササイズに反応して、サルコメア数が増加することが示唆されており、筋腱単位がより長い筋長で機能することを可能にして、各サルコメアによって吸収される伸張の程度を減少させ、それに応じて筋挫傷を減少させる可能性があることを示唆しています。
腰椎-骨盤筋群はハムストリングの伸張に多大な影響を与える
リハビリテーションとリコンディショニングにおいて、機能に影響を及ぼす局所因子も正しく理解する必要があります。
近年、腰椎-骨盤筋群がハムストリングの全体的な伸張に影響を与えることが示されています。
腸腰筋とハムストリング伸張
高速ランニング中における対側の股関節屈筋群(腸腰筋)の活動は、同側のハムストリングの伸張に多大な影響を及ぼします。
これは、腸腰筋の活動が遊脚前期において骨盤前傾の増大を生み、対側のハムストリングの伸張が増大するためです。
ランニング力学に関する最近の実験研究によって、股関節伸展と対側のハムストリング伸張との間に両側性の連結が確認され、この連結によって、腰椎-骨盤域における筋の神経筋制御を狙いとしたリハビリテーションエクササイズが、ハムストリング損傷の再発率低下に有効であることが説明されています。
アジリティ&体幹スタビライゼーション群とストレングス&ストレッチ群のリハビリテーションの比較
ハムストリング挫傷後に漸進的アジリティ&体幹スタビライゼーション(Progressive Agility and Trunk Stabilization:PATS)プログラムを実施した被験者と、ハムストリングのストレングス&ストレッチング(SS)プログラムを実施した被験者とが比較されました。
どちらのプログラムも週に最低5回実施され、PATS群は競技復帰後の再発率が2週間では0%、1年間では7.7%、一方、SS群はそれぞれ54.5%と70%でした。
形態学的および神経筋的因子は測定されましたが、ハムストリングの再損傷予防において、腰椎-骨盤の神経筋制御がなんらかの役割を果たすことが示唆されています。
引用・索引Brockett E Morgan D.Proske U.Predicting hamstring strain injury in elite athletes Med Sci Sports Exerc 36:379-387.2004

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