筋力トレーニングをすると身体が硬くなるというのは迷信ですが、だからといって、筋力トレーニングをしても全く身体は硬くならないというのも100%真実ではなく、方法によっては、関節可動域が小さくなってしまいます。
共縮
トレーニングの際、気をつけなければならないのは、筋肉の「共縮」であり、共縮とは主動筋と拮抗筋が同時に収縮してしまうことをいいます。
共縮が起こると、主動筋が力を発揮する作用と、それを助ける拮抗筋の抑制作用とがうまく働かなくなり、関節の動きが制限されています。
1例を挙げると、ベンチプレスで、いわゆるスティッキングポイント(力が出しにくくなるポイント)が出現するような重い重量負荷でゆっくり挙上する場合がこれにあたり、バーベルを挙げる際、肘を伸ばす上腕三頭筋と、その拮抗筋上腕二頭筋が同時に収縮してしまい、また、バーベルを下ろす際もこの2つの筋肉が同時に活動し、共縮の状態となります。
このような動作を繰り返し行っていると、関節可動域が小さくなり、本当に柔軟性が損なわれる可能性があります。
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共縮を防ぐためには
共縮を防ぐためには、主動筋と拮抗筋を交互に刺激することが大切になります。
1つのトレーニング動作の中でそれが行われることが理想ですが、それは、現実には難しいので、1セットづつ行う、または、主動筋の種目と拮抗筋の種目を組み合わせて連続して行う方法(スーパーセット法)があります。
具体的な例でいうと、上腕部なら上腕二頭筋に対して上腕三頭筋が主動筋・拮抗筋の関係になり、上腕二頭筋を鍛えるアームカール等と、上腕三頭筋を鍛えるトライセラトップスエクステンション、フレンチプレス等を必ずセットとしてトレーニングを行うようにします。
※上腕二頭筋の種目の直後に上腕三頭筋の種目を行うと、上腕二頭筋は疲労した状態で拮抗筋として働くので、それだけ活動が抑制されます(事前疲労法)。
この時の種目である主動筋への負荷刺激が高まり、筋力向上が期待できると同時に、拮抗筋の抑制効果による関節の柔軟性向上も期待できます。
※さらに、関節本来の動きを制限しないような配慮も必要で、例えば肩関節などは、非常に自由度が高い関節で、そのおかげで腕は多様な動きが可能になり、ここに着目し筋力トレーニングの際に捻りを加え、ダンベルプレスを行う際に腕をひねって行うこと(ダンベルを挙げる際は手のひらが内側、下ろした時には手のひらが外側)で、これにより、肩関節本来の動きに近くなり、関節の柔軟性向上が期待でき、こうしたトレーニングは初動負荷法として知られています。
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引用・索引 勝ちに行くスポーツ生理学
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