上記は大腿直筋の筋損傷部位の超音波診断画像になります。
周辺部の筋節(サルコメア)は正常ですが、中央部のものだけはその構造に乱れが見られます。
短縮性筋収縮や等尺性筋収縮に比べて、伸張性筋収縮後では甚大な筋損傷がみられる場合が多くなります。
伸張性筋収縮を行うと、筋節には外部からの力と自分自身が縮もうとする力の2つの力が働き、極めて大きな機械的ストレスがかかり、多数ある筋節の機械的な強度は必ずしも同じではなく、中には他と比べて弱い筋節があり、伸張性筋収縮の際にこれらが耐えられなくなる時に破壊されると考えられています。
これを「ポッピングサルコメア(popping sarcomere)説」と呼ばれています。
https://nakajima-bonesetter.com/blog/post-3411
カルパイン
短縮性筋収縮と比べ伸張性筋収縮では、収縮後の張力の低下の程度が大きいばかりではなく、その回復に長時間を要します。
伸張性筋収縮後にみられる長期に渡る張力の低下には、カルパインが関与していると考えられており、タンパク分解作用を持つカルパイン(calpain)は、Ca2+濃度の上昇によって活性化される酵素になります。
伸張性筋収縮を行うと、細胞外部からCa2+が流入したり、筋小胞体のCa2+取り込み・保持機能が低下したりして、細胞内のCa2+濃度が高まり、この酵素が活性化されます。
カルパインによっていったんタンパクが分解されると、それに代わる新たなものが合成され、適切な位置に組み込まれなければならないために機能の回復に時間がかかります。
https://nakajima-bonesetter.com/blog/post-3447
引用・索引 スポーツ・運動生理学概説
![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】超音波でわかる運動器疾患 [ 皆川洋至 ] 価格:8,424円(税込、送料込) |