筋肉の収縮様式
筋の収縮様式は、静的収縮(static contraction)と動的収縮(dynamic contraction)に大別されます。
※静的収縮には筋の長さが変化しないこと、これに対して、動的収縮は筋の長さが変化することに特徴があります。
静的収縮は、等尺性収縮(isometric contraction)とも呼ばれ、動的収縮は短縮性収縮(concentric contraction)と伸張性収縮(eccentric contraction)に分けられ、短縮性収縮は筋長が短縮しながら、伸張性収縮は伸張しながら収縮します。
また、動的収縮の特殊な様式として、等張性収縮(isotonic contraction)と等速性収縮(isokinetic contraction)があり、等張性収縮は一定の張力を発揮しながら行う収縮、等速性収縮とは一定の収縮速度で行う収縮になります。
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等尺性収縮
等尺性収縮の例として、動かない壁を押す、握力計を握る、ダンベルを一定の位置に保持するなどがあげられます。
このタイプの収縮は関節の角度により筋が発揮できる張力が変化することに特徴があります。
例として、肘関節屈曲トレーニングでは、肘関節角度が約100°の時に最大の筋力が発揮され、関節角度がこれより大きくても小さくても、発揮可能な筋力は低下します。
短縮性収縮と伸張性収縮
肘関節屈曲トレーニングの上腕二頭筋では、ダンベルを持ち上げる時に短縮性収縮が、ダンベルを下ろす時に伸張性収縮が行われます。
動的収縮における最大筋力は、運動の速度に大きく影響され、短縮性収縮では、運動速度が速くなればなるほど筋力は低下するのに対して、伸張性収縮では逆に増加します。
同じ張力を発揮する場合、短縮性収縮に比べて伸張性収縮のほうがエネルギー消費量は少なくなりますが、筋原線維などに損傷が生じ、これらが原因で長期的な筋力の低下を招くことがあり、また、収縮後、筋肉痛(遅発性筋肉痛)が起こることも特徴の一つになります。
等速性収縮
水泳のクロールを行ったときの水中での腕の動きが、等速性収縮に近い動きになります。
特殊な機器を使用すると厳密な意味での等速性収縮を測定することができ、スポーツの場面では動的収縮かつ特定の関節角度で大きな張力を発揮することが要求される場合があり、機器を使用すると運動中のすべての関節角度の筋力を測定することができるために、スポーツ選手にとって有用な評価が可能になります。
等張性収縮
一定の重さの物体(バーベルなど)を等速度で上げ下げする運動が、等張性収縮に近い運動になります。
しかし、通常行われる運動では等速度を保つのは難しく、またそれを維持できたとしても、関節角度によって筋が発揮する張力は変化します。
したがって、生体内で等張性収縮が行われることは厳密にはごくわずかになります。
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引用・索引 スポーツ・運動生理学概説