筋線維を支配する運動神経細胞(運動ニューロン:Motor Neuron)は脊髄にあり、運動ニューロンから出た神経線維は、幾重にも分岐し筋線維に到達します。
一つの運動ニューロンと、それを支配する一群の筋線維をまとめて運動単位(Motor Unit)といい、ある運動ニューロンが興奮すると、運動単位に含まれるすべての筋線維が収縮することになります。
一つの運動単位に含まれる筋線維タイプは、すべて同一になります。
※運動単位にはST線維、FTa線維、FTb線維を含む三つのタイプが存在します。
一つの運動単位に含まれる筋線維の数(神経支配比:innervation ratio)は、運動単位のタイプによって異なり、下肢筋の場合、ST運動単位では約200本程度、FTa運動単位とFTb運動単位では300~800本程度になります。
※上腕二頭筋が約20万本の筋線維で構成されており、仮に神経支配比の平均が500であるならば、この筋には500個の運動単位が含まれることになります。
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筋線維の動員
運動ニューロンは、中枢からのインパルスを受け取ると興奮し、支配している筋線維にインパルスを送りますが、インパルスを受ければ常に興奮するかというとそうではなく、ある一定以上の強さのインパルスが来た時のみ興奮し、それ以下の強さの場合はまったく反応しません。
どの程度の強さのインパルスが来たら興奮するかは、運動ニューロンの細胞体のサイズに左右され、細胞体が小さいものほど興奮性が高く(興奮しやすい)、これを「サイズの原理(size principle)」といいます。
細胞体の大きさはニューロンごとで異なりますが、運動単位のタイプ別に一定の傾向がみられ、平均ではST運動単位<FTa運動単位<FTb運動単位の順で大きくなります。
したがって、行う運動の強度を高めるために、中枢からのインパルスが増すと、まずはST線維が、続いてFTa線維、FTb線維の順で収縮に動員されます。
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引用・索引 スポーツ・運動生理学概説