「ガラスを踏んでしまった」「指先をカッターで切ってしまった」等の受傷直後は”鋭い痛み”としてfirstpainがあり、それに続いて持続する鈍い痛みのslowpainを感じます。
2種類の痛みの感覚
痛みは自由神経終末によって受容されますが、その伝導にはAδおよび、C線維の2種類の感覚神経が関与しています。
- Aδ線維:Aδ線維は有髄であり、伝導が早くなります。
- C線維:C線維は無髄なので伝導速度が遅くなります。
これが時間差をもって異なる2種類の痛みを感じる一因になります。
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痛覚の受容器
痛覚の受容器は侵害受容器と呼ばれ、機械的刺激や温度刺激によって活性化します。
また、組織の損傷部位では、ブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミンなどの内因性発痛物質と呼ばれるペプチドなどが産生・放出されます。
これらの物質は侵害受容器の活性化や感受性を上げることに関与しています。
たとえば、捻挫をしてしばらくの間、痛みが続くのは、これらの化学物質の作用によるもので、痛覚過敏が起こり、受傷部位の周囲にまで痛みが広がります。
しかし、この痛みがあるから「安静にしよう」と努めるわけであり、これが怪我の早期回復につながります。
痛みのコントロール
痛みは不快ではありますが、うまくコントロールしながら上手に付き合っていかなければなりません。
感覚系の特徴として「順応」がありますが、痛覚は順応しません。
発痛物質が末梢の侵害受容器を刺激し続ける間、受容器は興奮性の信号を中枢に送り続けます。
しかし、痛みが軽減することは日常的に経験することですが、これは順応ではなく、脳幹からノルアドレナリン、セロトニンが放出され、これが脊髄の投射ニューロンを抑制することが一因になります。
また、脳内麻薬とも呼ばれるエンドルフィン類、エンケファリン類、ダイノルフィン類が脊髄での痛覚の伝達を抑制するので痛みが軽減します。
モルヒネが協力な鎮痛剤として有効なのはそのためになります。
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引用・索引 スポーツ・運動生理学