筋グリコーゲンの保持が試合を左右する
筋グリコーゲンを中心とする糖質の貯蔵量には限りがあり、多くの選手にとっては、筋グリコーゲン量を以下に試合中保持できるかを考えることが重要になります。
特にサッカーやマラソンなどの持久的能力が必要な競技では、以下に筋グリコーゲンを最後までもたせるかが、勝敗を決めます。
また、大きく減った筋グリコーゲン量を元に戻すには、通常1日では無理になり、連戦をする時、ハードトレーニングをする際は、いかに早く筋グリコーゲンを回復させるかが非常に重要になります。
糖質が無くなることが「疲労感」につながる
持久的運動で、エネルギー源として糖質を使っていくと、後半には糖質が無くなります。
糖質が無くなっていくと血糖値が下がり、下がるということは「脳」へのエネルギーが足りなくなるということで、意識がもうろうとしてくる症状が現れます。
そこで脳としては血糖値が下がると「こんな運動を続けては困る」という命令を身体に出すことになり、それが「疲労感」となります。
また、糖質が無くなるということは「筋グリコーゲン」が無くなるということになり、そうなると筋収縮がうまくいかなくなり、力がうまく出せなくなります。
糖質が十分にあるかどうかということは、疲労に大きく関係しています。
運動開始時には急激にエネルギーを作らなければならない
運動を開始したばかりの時には、糖質の利用の割合が高くなります。
理由として、運動を始める際、安静状態から急激にエネルギーを作らなければならなくない状態になります。
これは、運動強度が高いほど糖質を利用するということにつながります。
リン酸やADPが多いと糖質の分解が高まる
運動を始める際、ATPがたくさん分解され、ATPの分解産物であるリン酸やADPが多くでき、そうなると糖質の分解が活発になります。
また、糖質の分解が活発になるということは、乳酸ができやすくなるということになります。
どのくらい糖質の分解が高まるのか
運動を始めた際に糖質の利用が高まっていますが、糖質だけ使われるということではなく、ほとんどの場合、脂肪も必ず使われています。
持久的運動で考えると、運動開始後数分経って安定した状態では糖質:脂肪=1:1くらいから、運動開始後1分までは、糖質:脂肪=1.2:0.8くらいの比率になります。
運動強度を変えると(強度を上げる)糖質が使われる
糖質の利用の割合が増えるのは運動開始時だけではなく、運動強度を急に上げたときにもいえることになります。
運動強度を急に上げるということは、エネルギーが多く必要になるということになり、運動開始時と同様に糖質の分解がさかんになり、糖質の利用が高まります。
引用・索引エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2004/3/12 八田 秀雄 (著)14-15
Sugar and Health —The Sweet, the Sour, and the Sticky!

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