無酸素運動と有酸素運動
無酸素運動か、有酸素運動なのか?
短距離走や短いダッシュ、重量挙げのような力を出す運動など、強度が高い運動は「無酸素運動」と呼ばれ、その反対に、ゆっくり長時間する運動は「有酸素運動」と呼ばれます。
しかし、ダッシュしているとき、ウェイトトレーニングをしているときにも必ず心臓は止まっていることはなく、どんな時にも、心臓が動いて肺から血液に酸素が取り入れられ、筋肉に運ばれ、酸素が取り込まれ、ミトコンドリアで酸素が消費されてATPができています。
強度が高い運動の時にも、酸素が使われているということは、しっかりと頭に入れておくべきです。
400m走でも有酸素的代謝が働いている
50秒程度の400m走での有酸素的なエネルギー供給は、全体の20~30%程度といわれてきました。
こうした計算は実際には、呼気ガスを運動中に集めるということで、測定されてきました。
しかし、酸素を消費し二酸化炭素を出すのは、主として働いている筋肉です。
※筋肉で酸素を取り入れ、二酸化炭素になり、それが血液に出てきて肺から排出されるまでに時間がかかり、それを運動中の作業筋を中心とする酸素摂取量を、短距離走のような運動で求めるのは、かなり難しいことになる。
さらに、エネルギー供給の計算は、乳酸は溜まるだけで利用はされないと仮定して求められています。
しかし、実際には、乳酸は作られる一方で使われています(短距離でも)。
解糖系で乳酸ができるのは、筋肉が無酸素状態だからではなく、糖質の分解がミトコンドリアの反応可能量に関係なく過剰に起こるので、乳酸が一時的にできるのです。
できた乳酸は、酸素を使ってエネルギー源として完全に利用されるもので、老廃物ではありません。
グリコーゲンを乳酸にすれば、2ATPができますが、その乳酸を完全に利用すれば、18倍の36ATPができます。
エネルギー生産量は乳酸を作ることで得られる量よりも、乳酸を酸化して得られる量の方が多く、30~40秒程度の全力運動でも、乳酸は多く酸化されています。
引用・索引Bangsbo J,Gollnick PD,Graham TE,Juel C,Kiens B,Mizuno M,Saltin B,Anaerobicenergy Production and O2Deficit Debtlelationship during exhaustive exercise in human J Physiologic422:539-559 1990

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