筋肉痛は筋の損傷(乳酸蓄積の関係)
以前は、乳酸が溜まっているから筋肉痛が起こるといわれてきました。
しかし、乳酸が多くできるのは運動直後であって、運動後30分や1時間もたてば、元の低いレベルに戻ります。
一方、筋肉痛は運動し終わってすぐ生じるわけではなく、数時間後、あるいは1日後から現れてきます。
この時間のずれだけでも、乳酸が筋肉痛の原因ではないことが明らかです。
筋肉痛と乳酸蓄積
さらに、筋肉痛が多く出るのは、上り坂より「下り坂」になります。
このように、乳酸は「代謝によってできるもの」であるのに対して、筋肉痛は「筋が瞬間的に大きな力を出そうとして生じた力学的な原因によるもの」と考えられます。
筋肉痛は運動直後ではなく、運動の翌日に出るということを考えれば、筋に傷がついてそれを治そうとしている過程ということになります。
アミノ酸は筋の修復を早める
筋肉痛は運動後の養生により、程度が変わると考えられます。
運動後にストレッチなどを十分にすると、筋への血流量が保てたり、筋の構造を維持しやすくなるので、筋肉痛をある程度抑えることができると考えられます。
また、筋肉痛が出るような運動の後に、アミノ酸を摂ると、ある程度は筋肉痛が抑えられるようです。
筋肉に傷がついたら、その傷ついた部分には、再び筋タンパクが作られることになります。
しかし、食事でタンパク質を摂取してもそれが、筋肉まで届くのに時間がかかります。
それを、アミノ酸溶液にして運動後にすぐに摂取すれば、すぐにアミノ酸が筋肉に届けられることになり、筋タンパク修復がより早くできるのではないかという考え方です。
アミノ酸摂取だけではなくストレッチなども重要
ここで、注意しなければいけないことは、アミノ酸やペプチド(アミノ酸がつながったサプリメントなど)で筋肉痛が和らぐ可能性は高いのですが、それでまったくなくなるということではありません。
アミノ酸の摂取だけではなく、ストレッチを十分にし、身体が冷えないようにして血液循環を保つなどの対策も、もちろん大切な事になります。
引用・索引エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2004/3/12 八田 秀雄 (著)104
Muscle Soreness - What is it, How to reduce?

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