クレアチン摂取の効果
クレアチンリン酸(PCr)は、クレアチンとリン酸とが結びついてできます。
クレアチンを摂取すると、特に「高強度の競技に有利になる」、ということはよくいわれています。
効果があるという研究者の意見は、①クレアチンを摂ると筋に取り込まれ、クレアチン濃度が上がる、②筋内でクレアチンリン酸が合成され、クレアチンリン酸の濃度が上がる、またはクレアチンリン酸濃度は上がらなくても、クレアチンが増えたことで運動時のクレアチンリン酸の合成が早くなる、③増えたクレアチンリン酸によって、運動時のATP合成がより早くなるというものです。
効果がないという意見も
一方で、効果がないという意見もあります。
糖質と同様に、体内のクレアチンも水に溶けるので、増えすぎると浸透圧が変わるので、クレアチンは多くは貯められません。
身体としてクレアチンを一定量にしようとしていて、あまり増やそうとはしていません。
そうしたときに、外からクレアチンを多く摂取したところで、クレアチンやクレアチンリン酸の濃度は増えずに、効果がない可能性は十分にあります。
さらにクレアチンが筋に増えたからといって、それだけクレアチンリン酸が増えるとは必ずしも断定はできません。
そして、本当にクレアチンリン酸が運動前に増えたとしても、それが、必ずしも効果的かもわかりません。
ミトコンドリアとクレアチンリン酸
つまり、クレアチンリン酸はミトコンドリアがATPを作って、それからできたものになります。
そして、いつも作られているということになります。
そこで、最初のクレアチンリン酸の量がどのくらいあるのか、ということよりは、どれだけミトコンドリアがあって、どれだけ運動中にクレアチンリン酸を作れるかということのほうが、より重要である可能性が高いということになります。
持久的運動では
特に持久的運動では、長時間にわたりクレアチンリン酸を作り続ける必要があるので、クレアチン摂取は効果がありません。
球技では
一方、球技では、ダッシュを繰り返す中で、クレアチンリン酸が使われ、作られるを繰り返します。
マラソンなどの長時間の持久的運動よりは、クレアチンリン酸摂取効果は高い可能性が高いといえます。
つまり、短距離走のような高い強度の運動、またそれを繰り返す球技では、クレアチン摂取効果の可能性はかなりあります。
ただし、絶対に効果があるとは断定できないというのが妥当な考えになります。
特に、クレアチンに限ったことではないのですが、人によって効く人もいれば、効かない人もいるという個人差が大きいようです。
引用・索引 エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2004/3/12 八田 秀雄 (著) 101-108

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