筋原性経路
運動によって起こる筋肥大は、多くのシグナル伝達経路によって促進されます。
機械的刺激が標的細胞に分子的に形質導入され、分解よりも合成に有利に働くように筋タンパク質のバランスを変えます。
いくつかの主要なタンパク同化シグナル伝達経路が確認され、その中には、Akt/哺乳標的ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)、マイトジェン(分裂促進因子)活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、カルシウムイオン(Ca2+)依存経路があります。
Akt/mTOR経路
骨格筋の成長を制御するシグナル伝達ネットワークにおいて中心的な役割を果たすと考えられています。
具体的な分子レベルの仕組みは完全には解明されていませんが、Aktタンパク質は分子上流節点であると考えられ、タンパク質同化シグナル伝達促進因子であると同時に、有力な分解シグナル抑制因子でもあります。
活性化するとAktはmTORにシグナルを伝達し、筋肥大を促進する様々な下流標的に影響を及ぼします。
分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
遺伝子の発現や酸化還元状態および代謝にかかわる主要な制御因子であると考えられています。
運動後よって起こる骨格筋の筋肥大に特異的なMAPKは、筋の細胞ストレスを筋細胞の適応応答に結びつけて、成長と分化を調節することが知られ、それは3種類の異なるMAPKシグナル伝達モジュールが運動によって起こる筋肥大に関連しています。
3種類のMAPKシグナル伝達モジュール
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK1/2)、p38MARK、およびc-JumNH2末端キナーゼ(JNK)になります。
これらの各モジュールのうち、JNKは機械的な張力と筋損傷に対して最も反応しやすく、特に伸張性の運動に敏感になります。
運動のによって引き起こされるJNKの活性化は、細胞増殖とDNAの修復を調節する転写因子であるmRNAの急増に関連づけられています。
カルシウム依存経路
様々なカルシウムイオン(Ca2+)依存経路が筋肥大の調節に関連していることが示されています。
Ca2+調節ホスファターゼであるカリシニューリン(Cn)は、Ca2+シグナル伝達カスケードにおいて最も重要な制御因子であると考えられています。
Cnは、Ca2+経路の下流で活性化し、筋細胞促進因子2、GATA転写因子、活性化したT細胞の核因子などの様々な肥大因子を調節します。
Cn依存シグナル伝達はすべてのタイプにおいて筋線維の肥大と関連があり、これを抑制することは、筋に対する過負荷が存在する場合でさえ、筋の成長を妨げることが知られています。
引用・索引Baker D.Comprison of upper-Body strength and power between professional and college aged rugby league players.J Strength Cond Res15:198-209.2001
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