糖質はグリコーゲンの形で貯蔵される
体内で糖質が貯蔵される過程は、食べた糖質が血液中にグルコースとなり、それが筋肉などへ取り込まれるところから始まります。
この後、まずグルコースに1つリン酸がつき、そこからリン酸が取れ、つながったものがグリコーゲンになります。
グリコーゲンは主として肝臓と筋肉にあります。
肝臓のグリコーゲン
肝臓のグリコーゲンは、血液中のグルコース濃度が下がると(血糖値が下がる)グルコースとなり血液中に放出されます。
肝臓でのグリコーゲン合成は、食後の血中グルコース濃度が上がる(血糖値が上がる)盛んになり、そして、合成された肝グリコーゲンは、食事と食事の間の時期(食感期)に分解され、グルコースとして血液中に放出されます。
これにより、血糖値がある程度の範囲内で一定に保たれます。
しかし、肝グリコーゲンの量は少なく(300~400Kcal)長時間も食事をしないと、分解されしつくしてしまい、血糖値が下がり、空腹感が生じます。
筋肉のグリコーゲン
筋肉のグリコーゲン量
筋肉のグリコーゲン量は、総量としては肝臓よりも多く、グリコーゲンの濃度としては肝臓のほうが高いのですが、筋肉のほうが量は多くなり、グリコーゲンのトータルの貯蔵量としては筋肉のほうが3~4倍程度多くなります。
グルコースの取り込みにはインスリンが必要
筋グリコーゲンは血液中のグルコースを筋の細胞に取り込んで合成され、その際、重要なことは筋肉でのグルコースの取り込みになります。
筋肉で血液中のグルコースを取り込み続けると血糖値が下がってしまい、また、グルコースを取り込み続けて筋グリコーゲンが多く貯まり過ぎると、グリコーゲンは水も一緒に貯め込むので、筋肉自体が重くなってしまいます。
そこで、血糖値が上がる際には、グルコースを取り込んでグリコーゲンにしますが、血糖値が通常レベル以下だと取り込まれない仕組みが筋肉にはあります。
その仕組の一つとして「インスリン」という血糖値が上がった際に膵臓から出るホルモンの働きによります。
インスリンが膵臓から血液中に出て筋肉に来ると、筋の細胞はグルコースを取り込めるようになります。
直接取り込むのはGLUT
グルコースを筋の細胞に取り込むのは、筋細胞にある「グルコーストランスポーター」の働きによります。
乳酸には乳酸トランスポーターがあるように、グルコースにはグルコーストランスポーター(GLUT)があります。
そしてそのGLUTの中でもGLUT4と呼ばれるものが筋肉では最も重要になります。
GLUT4は細胞膜に移動する
GLUT4は通常は、細胞の中にあり普段は働いていません。
しかし、インスリンが来るとGLUT4は筋細胞の細胞膜に移動しグルコースを取り込む始めます。
つまり、血糖値が高くインスリンが出た際(グルコースを取り込む必要があるとき)だけGLUT4が細胞膜に移動し、筋肉はグルコースを取り込めるようになります。
引用・索引エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2004/3/12 八田 秀雄 (著)pages123-124

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