筋パワーが青少年におけるスピード決定因子である
Chelly&Denisは、青少年におけるスピードの決定因子を検証した数少ない研究を行い、「筋パワー」が加速および最大スピードの鍵を握る重要な決定因子であり、さらに脚のスティフネスも最大スピードの向上に貢献していると報告しました。
また、Oliverらは、思春期直前期と思春期直後期の子供における最大ランニングスピードの変化は「パワー」と「水平方向への力」によってすべてが説明できるとしました。
これは、パワーが増大することにより、ストライド長(SL)の増加が可能になり、結果としてスプリントスピードが向上するためであるとされています。
成長期と接地距離
また、成長期頃に四肢長の増加は接地距離(足と地面が接している長さ)に影響を及ぼす可能性がありまが、接地距離の増加がSLの増加に及ぼす影響は、遊脚期がSLの増加に及ぼす影響ほど大きくはありません。
接地期とスプリントの関係
接地期は、スプリントで力を発揮することが可能な唯一の局面であり、SLとスピードに影響を及ぼすにはまさしくこの接地期に発揮される力になります。
幼い子供は、年長の子供や成人を超える最大スプリント頻度(SF)を用いることによって脚長の短さを補っています。
しかし、12歳になると脚長が成人の95%に達するために、結果として、四肢長の変化が比較的小さくてもそれに伴ってスピードが増加します。
また、脚長ではなく、形態的特性がスプリンターの能力を左右することも示されており、これは、スピードの発揮において解剖学的因子よりも筋関連因子が大きな影響力を有していることを示唆しています。
成長=脚長増加=SLの増大
成長は脚長を増加させるため、それがSLの増大(接地距離による)をもたらす可能性があります。
しかし、SLの大部分は遊脚期に達成され、そして遊脚期の接続時間は小児・青少年期を通じて大きく変化はしません。
したがって、脚長の変化に伴う筋力の増加と、筋構造における形態的適応が発揮筋力の増大をもたらし、遊脚期に身体を前方へ推進させる能力を向上させると考えられます。
接地時間の短縮は高いSFが可能にしますが、これは自然な発達過程の一部として生じるのではなく、成熟とともに接地時間は増加し、SFはわずかに減少します。
引用・索引Transference of Strength and Power Adaptation to Sports Performance-Horizontal amd Vertical Force Production
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