Kennの段階システム(Tier System)「3×4+」
野球のような競技のトレーニングプログラムデザインを行う際は、Kennの段階システム(Tier System)「3×4+」を利用します。
※「3×4+」とは、週3回のワークアウトに、4つの段階(ブロック)を設けそれに加えてポストワークを行うということです。
段階システム同様に、ブロックAはその日に重点が置かれる基礎パターンであり、ブロックBはDEあるいはRFDのブロック、ブロックCとDはメインおよびサブの補助ワークを行うブロックになります。
オフシーズン期のワークアウトは、常に下半身のプッシュやプル(フロントスクワットやルーマニアンデッドリフト)、上半身のプッシュやプル(ベンチプレスやプルアップ)のバリエーションなど、基礎的な筋力向上のための運動から開始します。
トレーニングブロック後の進め方
ブロック | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 |
---|---|---|---|---|---|
A | MEプライオメトリック コアスタビリティ | 直線的加速 | ME UBプッシュ コアスタビリティ | 多方向への加速/方向転換 | ME LBプッシュ |
B | DE LBプッシュ | 直線的加速 | DEプライオメトリック(弾性) | 多方向への加速/方向転換 | DE UBプッシュ |
C | RE LBSプル 変形ME LBプッシュ | 直線的加速 | RE UBプル 変形ME SA UBプッシュ | 多方向への加速/方向転換 | 変形ME UBプライオメトリック RE SL LBプッシュ |
D | RE UB&LBプル・コンプレックス | 直線的加速 | RE UB&LBプル・コンプレックス | 多方向への加速/方向転換 | RE UB&LBプル・コンプレックス |
※※ME=最大筋力、UB=上半身、LB=下半身、DE=動的努力、SL=シングルレッグ、SA=シングルアーム、RE=反復努力
次に、ブロックAとは対象的に、様々な動作パターンや筋を利用するブロックBの爆発的運動へと進みます。
例えば、ブロックAで下半身のプッシュのバリエーション(フロントスクワット)を行う場合、ブロックBでは動的な上半身のプッシュやプルのバリエーションを行います。
第1週(ベースライン) | 第2週(負荷漸進) | 第3週(負荷漸進) | 第4週(負荷減少) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
量 | 負荷(%) | RI(%) | 量 | 負荷(%) | RI(%) | 量 | 負荷(%) | RI(%) | 量 | 負荷(%) | RI(%) | |
DEリフト | 5×5 | 60 | 100 | 6~7×4 | 65 | 100 | 8×3 | 70 | 100 | 5×3 | 75 | 100 |
MEリフト | 5×4 | 74 | 83 | 6×4 | 79 | 88 | 5×4 | 83 | 93 | 5×2 | 90 | 95 |
REリフト | 3×10~12 | 60 | 80 | 3~4×10~12 | 64 | 85 | 3~4×8~10 | 72 | 90 | 2×8 | 76 | 95 |
※DE=動的努力、ME=最大筋力、RE=反復努力、DEリフト=調節抵抗を受けない安定したセット、RI=相対的強度
プレシーズンAでは、オフシーズンと同じプログラムデザインを継続しますが、ブロックAでは基礎的な筋力向上のための運動に、爆発的な動作パターンを組み合わせます。
ブロックAとブロックBの例を挙げると、ブロックAがスクワットのバリエーションで、ブロックBがエクスプローシズ・ポーズであるときには、デプスジャンプtoバーティカルジャンプを組み合わせます。
Newton&Kraemerらの研究
Newton&Kraemerによると、パワーの点でトレーニングを最適化するには、筋力と爆発力をともに訓練するエクササイズを組込まなければならないとされています。
ブロックCとブロックDはその時期におけるメインおよびサブの補助エクササイズからなる3つのエクササイズのスーパーセットになります。
オフシーズン中は、REや変形MEのトレーニング様式を用いて、筋サイズや筋力の向上に重点を置き、ここでは、シングルレッグ/シングルアームのプッシュ-プル動作を利用することが多くなります。
しかし、プレシーズンAでは、REと変形ME様式にDEを加えて、筋サイズ筋力を継続しながら、それに加えてパワーの向上を継続しながら、それに加えてパワーの向上を図ります。
プレシーズンA(筋力-スピード)のエクササイズ選択
プレシーズンAの目的は、練習意欲、筋力、パワー、スピードの維持になります。
ブロック | 月曜 | 水曜 | 金曜 |
---|---|---|---|
A | デッドリフト MB RDLスロー | フロアプレス 全身によるバウンドプッシュアップ | フロントスクワット デプスジャンプtoバーティカルジャンプ |
B | CGロックアウト(1/2RDM):スピード エルボーブリッジwith Abd | ポーズ・バックスクワット:スピード ダイナミックサイドブリッジ | NGプルアップ:スピード リバースブリッジwithニードライブ:アームエクステンション |
C | DB2アームロウ:アスレティックポジション DB SL RDL:2DB DAPローテーション:ローtoハイ | BBラテラル・スプリットスクワット DBベンチプレス・スロー DAPスタンディングポジション・チョップ | DBチェストサポーティッド・ロウ:SG DBリバースランジtoフォワードランジ DAPスタンディングポジション・リフト |
D | BBグッドモーニング チェストサポーティッドI.Y.T.A DBフォワードランジtoラテラルステップ | グルートハムレイズ プレートPNFダイアゴナル DBローテーショナルランジ | DLヒップエクステンションwithヒップフレクション SBハムストリングカール BW SLスクワットto12インチボックス |
※MB=メディスンボール、RDL=ルーマニアンデッドリフト、CG=クローズドグリップ、ROM=関節可動域、NG=ニュートラルグリップ、Abd=外転、DB=ダンベル、BB=バーベル、SG=スピネイティッドグリップ、SL=シングルレッグ、DAP=デュラルアジャスタブル・プーリー(ハンマーストレングス器具)、DL=ダブルレッグ、PNF=固有受容性神経筋促通法、SB=スタビリティボール、BW=自重
野球医学―飛田穂洲選集 野球読本:基礎練習編(シーズン前のコンディショニングの重要性) 引用・索引Wathen D Baechle TR and Earle RW Periodization In Essentials of Strength Training and Conditioning Baechle TR and Earle RW eds Champaign IL Human Kinetics.2008pp507-522

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